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特集 大学生とメンタルヘルス―保健管理センターのチャレンジ
総論
著者: 杉田義郎1
所属機関: 1大阪大学キャンパスライフ支援センター
ページ範囲:P.367 - P.373
文献購入ページに移動1990年代以降,現在に至るまで日本も世界も激動の時代であり,グローバリゼーションが急速に進んでいる。それまでの近代化は近代的な理性が絶対的な位置を占めていたが,現代はこれまでの単純な近代(初期近代)とは違ったフェイズに入ったという,ポストモダン思想が生まれてきている。秩序や人間関係を規定するソリッドな枠組みがなくなったとして,社会学者のジークムント・バウマンは現代はすべてが流動化している状態として“リキッド・モダニティ”と呼んでいる6)。また,ウルリッヒ・ベックは発展した技術や経済が人間の統制下から離れ,意図せざる結果として地上の生命体をおびやかしている「環境リスク」や集団の保護機能が弱体化し,リスクは個々人に対し直接的にふりかかかるようになった「人生のリスク化」が生じる現代を“リスク社会”としている5)。
大学,そして保健管理センターといえども,現代社会の中にあってはこのような状況から免れることはできない。むしろ,このような時代であるからこそ,学生,教職員にメンタルヘルス不調者が増え,保健管理センターのメンタルヘルス・サポートの役割が期待され,実力が問われているといってもよい。
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