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特集 大学生とメンタルヘルス―保健管理センターのチャレンジ
大学生の不登校をめぐって
著者: 小柳晴生1
所属機関: 1元・香川大学保健管理センター
ページ範囲:P.399 - P.404
文献購入ページに移動不登校に関連する大学生の心性について
1960年代後半から70年安保闘争をはさんで,留年についての研究調査が盛んに行われるようになった。学生運動で激しく異議申し立てをする学生の裏に,静かに沈潜していく学生の存在があり,それが留年の増加という形で現れ始めたのである。この中には,今から見れば「不登校」とされる学生が少なからず含まれていたのかもしれない。
こうした研究の中から,1968年丸井5)によって「意欲減退学生」が,1978年には笠原4)により「退却神経症ステューデント・アパシー」という概念が提唱された。「モラトリアム人間」10)という表現が使われたのもこの頃である。
1960年代後半から70年安保闘争をはさんで,留年についての研究調査が盛んに行われるようになった。学生運動で激しく異議申し立てをする学生の裏に,静かに沈潜していく学生の存在があり,それが留年の増加という形で現れ始めたのである。この中には,今から見れば「不登校」とされる学生が少なからず含まれていたのかもしれない。
こうした研究の中から,1968年丸井5)によって「意欲減退学生」が,1978年には笠原4)により「退却神経症ステューデント・アパシー」という概念が提唱された。「モラトリアム人間」10)という表現が使われたのもこの頃である。
参考文献
1) 堀井俊章:大学生の不登校に関する研究の動向.横浜国立大学教育人間科学部紀要Ⅰ(教育科学)15:75-84, 2013
2) 池田温子,畑山悦子,宮西照夫,他:和歌山大学のひきこもり支援プロジェクトとその成果.CAMPUS HEALTH 43(2):101-106, 2006
3) 風祭元,小林園子,川崎道子,他:大学生にみられる「学校恐怖症」.第66回日本精神神経学会総会抄録:精神経誌71:281-282, 1969 (注)(「精神衛生管理研究2:55, 1969」に,1968年に開催された第3回精神衛生管理研究会で同じ発表者による「大学生の“学校恐怖症”」が発表されたとの記載があった。風祭氏に問い合わせたが抄録などが確認できなかったので,上記発表を初出とした。)
4) 笠原嘉:アパシー・シンドローム高学歴社会の青年心理.岩波書店,1984
5) 丸井文男:留年学生に対する対策.厚生補導22:18-24, 1968
6) 小柳晴生:不登校を伴う来談学生についての一考察.第23回全国学生相談研究会議学生相談弘前シンポジウム報告書:25-30, 1990
7) 小柳晴生:不登校を伴う来談学生の追跡的研究.第29回全国保健管理研究集会報告書:289-292, 1991
8) 小柳晴生:休学者および出席不良学生のスクリーニングおよび相談システムの研究(1).1993年度香川大学教育研究特別経費研究報告書:1994
9) 小柳晴生:休学者および出席不良学生のスクリーニングおよび相談システムの研究(2).1994年度香川大学教育研究特別経費研究報告書:1995
10) 小此木啓吾:モラトリアム人間の時代.中央公論新社,1978
11) 内野悌司:新入生を先輩が支援する広島大学ピアサポート活動について.大学と学生29:17-24, 2006
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