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文献詳細

雑誌文献

精神医学56巻5号

2014年05月発行

文献概要

短報

Blonanserin 1日1回投与が有効であった器質性幻覚症の1例

著者: 岡松彦1 大宮友貴23 高信径介1 渡辺晋也1 小川智生1 古堅祐行1 岡崎大介1

所属機関: 1市立釧路総合病院精神神経科 2北海道大学大学院医学研究科神経病態学講座精神医学分野 3北海道大学大学院医学研究科解剖学講座解剖発生学分野

ページ範囲:P.437 - P.440

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抄録

 75歳男性,器質性幻覚症。転倒して後頭部を強打した後から幻聴が出現し,幻覚妄想状態を呈した。頭部MRIでは右前頭葉と右側頭葉の挫傷を認め,他に幻覚を来し得る器質因は認めなかった。Blonanserin 24mg朝夕後2回投与から就寝前1回投与として幻覚妄想状態は改善したが,錐体外路症状の増悪を認めた。Blonanserinに反応したが効果不十分であった場合,多剤併用や極量超過ではなく,用法の変更により1回量を十分にすることでさらなる症状の改善を見込める可能性があるが,副作用の増悪に注意が必要と考えられた。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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