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連載 「継往開来」操作的診断の中で見失われがちな,大切な疾病概念や症状の再評価シリーズ
コタール症候群
著者: 阿部隆明12
所属機関: 1自治医科大学精神医学教室 2自治医科大学とちぎ子ども医療センター
ページ範囲:P.447 - P.449
文献購入ページに移動コタール症候群は抗うつ薬や電気痙攣療法(ECT)の導入によって減少したと指摘されるが,最近では英語圏での関心の高まりを受けて,臨床報告や神経生物学的研究が相次いでいる。とはいえ,臨床的な文脈と無関係に,自分が死んでいるという妄想的信念を持つだけで,その診断がなされる傾向もある3)。これは,器官の否定,不死・巨大妄想,永罰・悪魔憑き(possession)妄想などの特徴をセットで指摘したCotardの原著からの大きな逸脱である。操作的な診断基準が存在しないので仕方ない面もあるが,筆者自身はCotardの意図を最大限尊重する立場である。ここでは原著に立ち返るとともに,その後の諸研究もまとめていくが,特に最近の文献は必ずしも古典的なコタール症候群を扱っているわけではないことを念頭に置いていただきたい。なお,本概念は日本でも繰り返し紹介されている8,9,11)ので,こちらも参照されたい。
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