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Fluvoxamineを投与して行動・心理症状(BPSD)が改善した中等度アルツハイマー型認知症の1例
著者: 臼井勝也1 森一也1 中川賀嗣12 松原良次3
所属機関: 1医療法人五風会さっぽろ香雪病院 2北海道医療大学心理科学部言語聴覚療法学科 3特定医療法人社団慶愛会札幌花園病院
ページ範囲:P.72 - P.74
文献購入ページに移動アルツハイマー型認知症の行動・心理症状(Behavioral and psychological symptoms of dementia;BPSD)に対する薬物療法では抗認知症薬や抑肝散などを使用する場合が多いが,効果が乏しい時は適応外使用の抗精神病薬を使用することもある。抗精神病薬の使用においては副作用の問題が大きく,少量投与でもふらつきや過鎮静が出現して薬物調整に難渋することがある。抗うつ薬のfluvoxamineについては,前頭側頭型認知症のBPSDに対して有効であるという報告は多いが,中等度アルツハイマー型認知症に有効であったという報告は少ない。
今回筆者らは中等度アルツハイマー型認知症の徘徊や興奮性症状に対してfluvoxamineが有効であった1例を経験した。Fluvoxamineは忍容性の点で高齢者にも使いやすい薬剤であり,今後は中等度アルツハイマー型認知症の治療選択肢となり得ると考えられたので報告する。なお,本症例報告にあたっては家族の了承を得て,患者個人が特定されないよう配慮し,症例内容の一部を改変した。
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