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雑誌詳細

文献概要

巻頭言

ストレスとは何か?

著者: 井上猛1

所属機関: 1東京医科大学精神医学分野

ページ範囲:P.994 - P.995

 いよいよ今年12月より職場のストレスチェック制度が始まる。しかし,そもそもストレスとは何か,どのようにその程度を評価するのかということは難しい問題である。ストレスは世間でも医療でもよく使われる言葉であるが,意外なことにストレスについてはあまり多くのことが分かっていない。
 古典的な精神医学では,躁うつ病では,遺伝素質,病前性格を基盤に「精神的誘因」が加わって,特にうつ病を発症するという考え方が主流であった。一方,神経症では,性格要因,環境要因,身体要因を基盤に「直接の精神的誘因」が働いて神経症を発症するといわれていた。1980年より精神医学の標準的診断基準となったDSMマニュアルでは,遺伝要因と心理社会的出来事がうつ病発症に関連する,と書かれていた。2013年発表のDSM-5マニュアルで初めて神経症的特質という性格要因に「ストレスの多い人生上の出来事」が加わって発症するという従来の疾患モデルが提唱されるようになった。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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