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文献詳細

雑誌文献

精神医学57巻12号

2015年12月発行

文献概要

短報

突発的な呼吸困難感を認めパニック障害と診断されていたが側頭葉てんかんであることが判明した1例

著者: 久田絵美1 大島智弘1 郷治洋子1 加藤悦史1 田所ゆかり1 兼本浩祐1

所属機関: 1愛知医科大学精神神経科

ページ範囲:P.1031 - P.1033

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はじめに
 パニック発作を疑う際には背景に何らかの身体疾患を認める場合があり注意が必要であるが,その一つとして側頭葉てんかんの単純部分発作が挙げられる。一般に側頭葉てんかんでは自動症を伴う複雑部分発作を認めることが多く,また半数以上に単純部分発作があると言われており,上腹部不快感,既視感,未視感のほか自律神経症状として動悸,立毛,呼吸困難が,精神発作として恐怖感,離人感などが挙げられる1)。しかし,複雑部分発作や強直間代発作を認めずに単純部分発作のみのケースも存在するため,診断に苦慮する場合がある。今回我々は,突発的な呼吸困難感を認め近医にてパニック障害と診断されていたが側頭葉てんかんであることが判明した1例を経験したため,若干の文献的考察を含めて報告する。なお,報告にあたって個人情報を特定できないよう配慮した。

参考文献

1) 赤松直樹,田中章浩,山野光彦,他:側頭葉てんかん.別冊日本臨牀 神経症候群(第2版).pp52-56, 2014
2) 加藤悦史,田所ゆかり,大島智弘,他:パニック障害とてんかん性不安発作“ictal fear”の臨床的相違.精神医学55:121-127, 2013
3) 大谷秀之,高橋幸利,美根潤,他:パニック障害としてSSRIを投与され,てんかん発作が増悪した側頭葉てんかんの1例.小児科臨床61:1854-1858, 2008
4) Salinsky M, Kanter R, Dasheiff RM:Effectiveness of multiple EEGs in supporting the diagnosis of epilepsy:An operational curve. Epilepsia 28:331-334, 1987
5) 竹内龍雄:各論 パニック障害 概念・診断・心理社会的研究.臨床精神医学35:745-755, 2006
6) Williams D:The structure of emotions reflected in epileptic experiences. Brain 79:29-67, 1956

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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