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文献詳細

雑誌文献

精神医学57巻12号

2015年12月発行

文献概要

資料

東日本大震災後3か月間における自殺企図11症例の検討—福島第一原発の最寄りの中核総合病院救命救急センター受診後の入院例

著者: 池本桂子1

所属機関: 1いわき市立総合磐城共立病院リエゾン科(精神科)

ページ範囲:P.1035 - P.1039

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抄録
 2011年3月11日の東日本大震災後の3か月間,福島第一原子力発電所最寄りの中核総合病院である,いわき市立総合磐城共立病院(819床)の3次救命救急センターを受診後入院し,精神科へコンサルトされた自殺企図症例11例(男性2例,女性9例)のうち,女性は男性の4.5倍を占め,年齢的には20代が6例と半数を占めた。神経症圏の20代女性の過量服薬と自傷が多く(4例),中高齢者(3例)では,縊頸・農薬服毒など成功率の高い手段が用いられた。状況は,過労と家庭内トラブルの表面化(4例),異性問題(3例),飲酒(3例),農業・自営業の先行きと放射能への不安(3例),不眠の長期化と抑うつ(3例),不安障害・心的外傷後ストレス障害(PTSD)の再燃・発症(3例)などであった。女性の自殺企図増加,ストレス関連障害の割合が多かったことは特記すべき点であった。

参考文献

1) Hyodo K, Nakamura K, Oyama M, et al:Long-term suicide mortality rates decrease in men and increase in women after the Niigata-Chuetsu earthquake in Japan. Tohoku J Exp Med 220:149-155, 2010
2) 池本桂子:震災後の心のケア—リエゾン科の立場から.磐城共立病院医報 32:18, 2011
3) Krug EG, Kresnow M, Peddicord JP, et al:Suicide after natural disasters. N Engl J Med 338:373-378, 1998
4) 毎日新聞:長引く避難 福島の自殺未遂者 年々増加.2014年7月20日,27ページ
5) 日刊スポーツ:自殺未遂者 180人を診察 3割が震災に苦しみ・・.2014年9月11日,21ページ
6) しんぶん赤旗:原発事故3年7か月 福島はいま—いわき市 被災者 心を病む人も.2014年10月11日,3ぺージ
7) Shioiri T, Nishimura A, Nushida H, et al:The Kobe earthquake and reduced suicide rate in Japanese males. Arch Gen Psychiatry 56:282-283, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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