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書評
—斎藤環 著+訳—オープンダイアローグとは何か
著者: 小林隆児1
所属機関: 1西南学院大学人間科学部
ページ範囲:P.1040 - P.1040
文献購入ページに移動 著(訳)者の熱い思いが全編に流れているせいもあろうが,久々に精神療法に関して大きな話題となるのではないかと期待される書である。オープンダイアローグは「急性期精神病における開かれた対話によるアプローチ」とも呼ばれ,発症初期の精神病を主たる治療対象として,フィンランドの西ラップランド,トルニオ市で行われている地域精神保健活動で,公費医療の対象ともなっている。本書は著者による噛み砕いた紹介と,この活動を中心的に行っている臨床心理士セイックラ氏(原著者)らの主要な論文3編の訳からなっている。
著者のみならず読者をも驚かすのは,これまで常識とされてきた薬物療法と入院治療中心の精神病治療を根幹から覆しかねない内容を孕んでいるからである。患者,家族からの治療要請があれば24時間以内に彼らの要望する場所に治療スタッフ(3名程度)が出向き,その場で患者関係者とともに互いが対等の立場から自由に語り合う。最大の特徴はこの緊急対応の姿勢である。時には入院や薬物療法を補完的に用いることはあっても,基本はあくまで開かれた対話である。必要があれば毎日でも実施される。
著者のみならず読者をも驚かすのは,これまで常識とされてきた薬物療法と入院治療中心の精神病治療を根幹から覆しかねない内容を孕んでいるからである。患者,家族からの治療要請があれば24時間以内に彼らの要望する場所に治療スタッフ(3名程度)が出向き,その場で患者関係者とともに互いが対等の立場から自由に語り合う。最大の特徴はこの緊急対応の姿勢である。時には入院や薬物療法を補完的に用いることはあっても,基本はあくまで開かれた対話である。必要があれば毎日でも実施される。
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