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文献詳細

雑誌文献

精神医学57巻2号

2015年02月発行

資料

大学新入生の精神的健康が学習への取り組みと友人関係に及ぼす影響

著者: 渡邉賢二1 渡邉恵子2

所属機関: 1皇學館大学教育学部 2三重県

ページ範囲:P.133 - P.142

文献概要

抄録
【目的】本研究は,大学新入生の精神的健康が,前期と後期の学習の取り組みと友人関係に及ぼす影響を検討した。
【方法】大学1年生467名を対象に,2013年4月にUPI学生精神的健康調査,2013年7月と2014年1月に学習への取り組み尺度と友人関係尺度を実施した。
【結果】4月に抑うつ傾向の高い学生は,前期と後期の自主的学習,積極的主張,勤勉的学習,友人関係の満足度,友人との深い付き合いに負の影響を及ぼしていた。心身の快調さは,前期の積極的主張,勤勉的学習,友人関係の満足度,友人との深い付き合い,後期の積極的主張,友人との深い付き合いに正の影響を及ぼしていた。またUPI得点の低群は高群より学習への取り組みが高く,友人関係が良好であった。
【結論】大学入学時の精神的健康は,前後期の学習の取り組みや友人関係に影響を及ぼしていることが示された。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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