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連載 精神科の戦後史・1【新連載】
精神衛生法(昭和25年)
著者: 松下正明1
所属機関: 1東京大学
ページ範囲:P.153 - P.157
文献購入ページに移動日本は,1945年(昭和20)8月15日の太平洋戦争終結後の1947年(昭和22)5月3日,日本国憲法発布によって,立憲主義国家,軍国主義・ファシズム国家から曲がりなりにも民主国家へと変貌を遂げることになった。その社会の変化とともに,精神科医療においても,1950年(昭和25)5月1日,精神衛生法が公布施行され,同時に,戦前からの精神病者監護法,精神病院法は廃止されることになった。
爾来,精神科医療を規制する基本法として,精神衛生法は,ライシャワー事件をきっかけとした1965年(昭和40)6月改正を含めた数次にわたる一部改正,1987年(昭和62)9月の名称変更による精神保健法公布,1993年(平成5)6月の一部改正,さらに,名称変更による1995年(平成7)精神保健及び精神障害者福祉に関する法施行,といったいくつかの主要な変遷を経て,現在に至っている。
精神衛生法については,すでに数多くの論考がなされ,今さら新たに論じることはないが,戦後の精神科医療の歴史70年を迎えるにあたって,その出発点となった精神衛生法の意義をあらためて振り返ってみることは,これからの精神科医療のあり方を考える上でも多くの示唆を受けるのではないだろうかというのが本稿の意図である。
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