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雑誌目次

論文

精神医学57巻4号

2015年04月発行

雑誌目次

巻頭言

「危険ドラッグ」を考える

著者: 融道男

ページ範囲:P.248 - P.249

 2007年4月から「脱法ドラッグ」を「指定薬物」と認定して,製造・販売を禁止されるようになったが,社会問題は解決されていない。
 2015年1月20日,毎日新聞朝刊一面のトップ6段記事の中,「危険ドラッグ」,「同じ包装 毒性に差」,「ずさんな製造法」,「まるでロシアンルーレット」の見出しがある。ドラッグの吸引による交通事故が繰り返される背景に,毒性の強弱が極端に異なり,ずさんな製造で強い薬物が増えることに警鐘を鳴らしている。その前には1月12日毎日新聞朝刊の三面記事のトップ6段に,大きく「完全にハマっていた」,「危険ドラッグ—職も免許も失う運転手」,「生活苦つい手出し」などの見出しを読んだ。昨年9月24日,タクシーを運転した男性(54歳)が蛇行と青信号での停車など不審な動きを繰り返し,警官に見つけられた。職務質問で「ドラッグを吸ったか?」「吸いました」。男性は素直に認め,ポケットからは植物片の袋と吸引パイプが見つかり,道路交通法の違反容疑で逮捕された。彼は「ハーブが切れるとゼンマイが切れたように体が動かなくなる。完全にハマっていた」と述べた。彼が使用した危険ドラッグはNM2201で大麻の約10倍の薬理作用で依存性が強い。他にも,昨年6月,池袋で7人の死傷事故を起こし運転処罰法違反罪で起訴された男性(37歳)も店の前で吸引して運転したという。約4年前から吸引を始めたらしく,吸引した薬からは大麻の20倍という強い毒性成分が検出された。この事件以降,警察の取り締まりが強化されたこともあり,摘発が増えた。

特集 リエゾン精神医学の現状と今後の展望(Ⅱ)

小児医療とリエゾン精神医学

著者: 三上克央

ページ範囲:P.251 - P.257

はじめに
 小児は,精神的にも身体的にも発展途上であり,また経験が乏しいことから,身体疾患にさらされ未知の環境下で治療を余儀なくされた場合,さまざまなストレス反応を呈することが予想される。そして,小児が身体疾患のため過酷な入院治療を必要とした場合,情緒の安定を保てず治療環境への適応が難しくなり,治療や必要な処置への抵抗や拒否を示すことがしばしば経験される8)。このような身体疾患への適応上の問題,すなわち身体疾患に関連する精神症状(身体疾患に伴う抑うつや不安など)やストレス因子による身体化症状に対する評価と対応が,小児のコンサルテーション・リエゾン(以下リエゾン)精神医学の柱の1つである。
 一方,小児のリエゾン精神医学のもう1つの柱として,自殺関連行動(自殺念慮や自傷行為,自殺企図など)の評価と対応が挙げられる。中でも自殺企図後の小児は総合病院の救命救急施設に搬送されるため,救急現場における小児リエゾンの対象となる。
 本稿は,上記の課題を一般病棟と救急現場での問題として再構成し,リエゾンの対象となる小児の評価と対応について,自験例を交えながら考察したい。なお,本稿で論ずる小児は,思春期症例も含む概念,すなわち,児童思春期症例を念頭に置いた概念とする。

老年期医療とリエゾン精神医学

著者: 熊谷亮 ,   一宮洋介

ページ範囲:P.259 - P.265

はじめに
 日本の少子高齢化はとどまるところを知らない状況にある。総務省の報告では,2013年の日本の総人口は1億2729万8千人で,3年連続での減少が認められた。一方で,65歳以上の人口は1950年以降上昇が続いており,2013年は25.1%と4人に1人が65歳以上となった15)。日常臨床の場面でも,多くの医師が患者の高齢化を実感しているのではないだろうか。
 加齢はさまざまな疾患のリスクファクターであり,高齢者は複数の疾患を合併しやすい(multiple pathology;多病性)。このため,治療に際しては複数の診療科や職種が対応することが多く,円滑な連携が不可欠である。精神科領域でも,認知症やせん妄など加齢に伴い発生頻度が上昇する疾患があるため,リエゾン精神医学が実践されるケースが多い。
 順天堂東京江東高齢者医療センター(以下,当院)は,2002年に開設された348床(一般病棟219床,精神科病棟129床)を有する総合病院である。精神科医の活動は外来診療,精神科病棟を用いた入院治療,一般病棟でのリエゾン活動に大別される。2014年に当院の一般病棟に入院中,メンタルクリニック(以下,当科)に診察依頼があった患者を表1に示す。相談件数は総計131件,近年は身体科が高齢患者以外の対応にあたっていることもあり,比較的若年齢の患者の相談もあったが,その多くは65歳以上の高齢者(121件)だった。高齢患者の相談内容を,表2に示した。
 本稿では,当院での高齢患者に対するリエゾン活動の現状について,症例を挙げながら述べる。症例の記載については個人が特定できないよう配慮し,一部内容を変更している。

わが国における臓器移植精神医学のこれまでとこれから

著者: 西村勝治 ,   小林清香 ,   菅原裕子 ,   筒井順子 ,   大下隆司 ,   石郷岡純

ページ範囲:P.267 - P.272

はじめに
 近年,わが国の臓器移植を取り巻く状況は大きく変化している。移植技術の進歩(優れた免疫抑制剤の導入など)によって治療成績は向上し,実施症例数も年々増えている。ABO血液型不適合などの免疫学的なハイリスク症例でも良好な生着率が得られ,かつては考えられなかった非血縁者からの臓器提供も可能になり,多くの人が生体ドナーとなる可能性を得ることになった。一方,欧米諸国では脳死・心臓死下移植が大半であるのに対し,わが国では依然として臓器移植(腎臓,肝臓)の約80%以上が生体ドナーからの提供によって成立しているのも事実である。「自国人の移植は自国内で行うように」という2008年のイスタンブール宣言などが契機となり,2010年に改正臓器移植法が施行されたことによって,これまで低迷していた脳死移植数も増加しつつあり,わが国の移植医療は大きな転回点を迎えている。
 精神医学の立場からも,これまで多くの先達が移植医療に関与してきた。本稿ではわが国でこれまで報告されてきた臓器移植精神医学(organ transplant psychiatry)の成果について原著論文を中心に概観し,これからの方向性を展望する。紙面の都合上,症例報告の概観は一部を除いて割愛させていただいた。また,固形臓器(solid organ)移植に限定したため,造血幹細胞移植は含まれていないが,これについては都立駒込病院のAkahoら1)による特記すべき報告がある。なお,海外の動向を含めた現状については他に記したため,そちらも参照いただきたい22)

整形外科とリエゾン精神医学

著者: 本谷亮 ,   矢吹省司 ,   紺野愼一 ,   矢部博興

ページ範囲:P.273 - P.279

はじめに
 痛みやしびれなどの症状を主訴とする患者のほとんどは,受診先として整形外科を選択する。整形外科では,理学所見や画像所見をもとに症状の原因を特定し,外科的治療(手術)や保存的治療(薬物療法,リハビリテーション)を行うのが一般的である。しかしながら,患者の中には,整形外科的治療のみでは改善が認められず,治療に難渋する例も少なくない。そのような場合は,症状の出現や維持に身体的問題だけではなく,心理社会的問題や精神医学的問題の関与していることが多い。痛みやしびれなど,主として整形外科が治療にあたる身体症状でも,症状が増悪,蔓延化し,自覚症状と他覚所見に解離が認められる患者には,精神科が整形外科と連携し,身体的側面と精神的側面の双方から患者の訴えるさまざまな症状,問題に対処していくリエゾン診療が必要である。

Medical Psychiatry Unit (MPU)

著者: 水島仁 ,   長井信弘 ,   黄野博勝

ページ範囲:P.281 - P.284

総合病院精神科の現状
 ここ数年,「医療崩壊」,「医師不足」ということがマスコミでも取り上げられることが多い。その多くは地方都市での産科医師や小児科医師不足,あるいは救急車の受け入れまで時間がかかっている現状が取り上げられている。しかし,精神医療,とりわけ総合病院における精神医療も医療危機的状況に直面しているが,これが論じられることは少ない6)
 表1のように総合病院精神科の中でも有床総合病院は削減傾向である。

研究と報告

東日本大震災関連の自殺企図10例の検討

著者: 吉岡靖史 ,   大塚耕太郎 ,   星克仁 ,   三條克巳 ,   肥田篤彦 ,   小泉範高 ,   梅津美貴 ,   遠藤重厚 ,   酒井明夫

ページ範囲:P.285 - P.291

抄録
 本研究では東日本大震災後1年間に,岩手医科大学附属病院と高度救命救急センターを受診した震災関連の自殺企図10例の臨床的特徴を検討した。その結果,1)発災後4週以内の企図が多い,2)企図の要因として,4週以内は急性ストレス反応,5週以降は仕事や居住地の変化など2次ストレスが関与,3)気分障害による抑うつ状態が多い,4)身体的重症度の高い企図手段が多い,5)救急センター入院が多いなどが明らかとなった。以上より,震災直後から重症自殺企図の予防に努め,企図者には基幹病院や救急センターと連携して心身両面から治療にあたる必要性,長期的に対応を行う必要性が示唆された。

双極性うつ病に対するfluvoxamine,milnacipran,paroxetineの有用度について

著者: 北市雄士 ,   井上猛 ,   鈴木克治 ,   田中輝明 ,   本田稔 ,   中川伸 ,   久住一郎 ,   小山司

ページ範囲:P.293 - P.299

抄録
 本研究は,双極性うつ病に対するfluvoxamine,milnacipranの有用性についてカルテを用いて後方視的調査を行いparoxetineと比較した。抗うつ薬間,診断亜型間で有用度に差を認めなかった。一方,fluvoxamine,paroxetine,milnacipranに炭酸リチウムを併用した群では,気分安定薬を使用しなかった群と比べて有意に“躁転あるいは不安定化”が少なかった。“やや有用・有用でない”群におけるfluvoxamine,milnacipranの最高用量は,“寛解以上”群と比べて有意に高かった。“躁転あるいは不安定化”と薬剤用量との関連は認められなかった。本研究の結果から,fluvoxamine,milnacipranの双極性うつ病に対する有用度はparoxetineと同等であった。ただし,双極性うつ病に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)を使用する場合には炭酸リチウムの併用が有用と考えられた。

短報

Clozapineにより修正型電気けいれん療法から離脱可能であった治療抵抗性統合失調症の1例

著者: 大盛航 ,   板垣圭 ,   中村元信 ,   竹林実

ページ範囲:P.301 - P.304

抄録
 Clozapineは,治療効果発現までに時間を要することや副作用に関する種々の制約が多い。一方,修正型電気けいれん療法(ECT)は統合失調症において緊張病症状や急性増悪に対して速効性の効果を有する場合があるが,効果が持続しない問題点がある。症例は70歳代の治療抵抗性統合失調症の女性。ECTで劇的に幻覚妄想が改善するが,再発を繰り返すため維持ECTを適用した。しかし,効果が減弱し1週間しか維持できない状態となった。Clozapineを導入したところECTの離脱に成功し,その後clozapineのみで自宅にて長期間寛解状態を保つことが可能となった。ClozapineとECTをうまく使いこなすことが,治療抵抗性統合失調症の治療ストラテジーの一つとなる可能性が示唆された。

紹介

精神疾患における腸内細菌叢の意義

著者: 長嶺敬彦

ページ範囲:P.305 - P.308

抄録
 体内にあって自己ではないものに腸内細菌叢がある。その働きは宿主である人体のさまざまな機能に影響し,たとえば肥満などの代謝障害に関与している。非定型抗精神病薬は肥満を誘発しやすいことはよく知られているが,近年,腸内細菌叢へのアプローチでこのような肥満が軽減する可能性が動物実験で示された。さらに腸内細菌叢は身体疾患だけでなく,精神機能にも影響する可能性がある。妊娠マウスに偽ウイルスを投与するmaternal immune activationを行うと,仔マウスは自閉症様行動を示すのだが,そのメカニズムとしてbacterial translocationが推測されている。腸内細菌叢は種により異なるため,これらの動物実験の結果をヒトへ直接応用することはできない。しかし今後は,精神科領域で身体合併症予防や精神症状の改善を視野に入れた取り組みとして,腸内細菌叢に関する研究を行う必要がある。

連載 精神科の戦後史・3

クラーク勧告(1968年)の検証と今日の課題

著者: 伊勢田堯

ページ範囲:P.311 - P.318

はじめに
 D. H. クラークは,1968年にWHOからわが国に派遣され日本政府に地域精神医療を推進するための「クラーク勧告」を行った。当時の日本は,病院中心の医療体制に進むのか海外の諸国が目指している地域ケアに向かうのか,ちょうど分岐点にあった。
 しかし,日本政府はこの勧告を受け入れることなく,国際的動向とは正反対の入院中心の医療体制を邁進することになった。戦後の精神医療史の中でひとつのエポックであった。
 本稿では,現在を知るために過去を知り,未来を展望するためにクラーク勧告を検証する。

書評

—傳田健三 著—子どものうつ 心の治療—外来診療のための5ステップ・アプローチ

著者: 大森哲郎

ページ範囲:P.309 - P.309

 著者の傳田健三氏は,子どものうつ病の臨床現場と学会を牽引してきた人である。2002年出版の「子どのうつ病—見逃されてきた重大な疾患」では,それとして認知されていなかった状態を,うつ病として見る診方を提示した。その後も,子どもの双極性障害や若者のうつ病に関して発言を続けている。
 その著者が,自ら実践する子どものうつ病への精神療法を1冊にまとめた。新患診察に30分,再患診察に15分という日常診療の時間制約のなかで,多くの工夫を凝らしながら,子どもと真剣に向き合う様子がありありと伝わってくる。子どもの自己表現に配慮し,家族への対応を欠かさず,認知行動療法や対人関係療法の技法を適宜取り込み,ときには非言語的治療を導入し,しばしば薬物療法を併用する。特定の治療法に立脚するのではなく,持てる技法を駆使して患者ごとに最善を模索する立場なのである。

—姫井昭男 著—精神科の薬がわかる本 第3版

著者: 宮崎仁

ページ範囲:P.319 - P.319

 世の中には,「精神科の薬は,うさんくさい」と思っている人が多い。その中には,患者だけではなく,精神科を専門としない医師や対人援助職もたくさん含まれている。
 一方,精神科を専門としない医師や対人援助職が,精神科の薬のことを無視して,自分の仕事を進めることはできない。プライマリケアの外来を受診する患者の3〜4割は,何らかの精神疾患や精神科的問題を持っている。また,統合失調症のために精神科で薬物治療を受けている患者が,風邪をひいて来ることもあるし,介護を要する状態になることだってある。「精神科の薬は,うさんくさい」と敬遠してはいられないのが,リアルな現場の状況なのである。

—野村総一郎,中村 純,青木省三,朝田 隆,水野雅文 シリーズ編集 野村総一郎 編——《精神科臨床エキスパート》—抑うつの鑑別を究める

著者: 田中克俊

ページ範囲:P.320 - P.320

 私がフレッシュマンとして入局して間もないころ,教授から「うつ病の中核は抑うつ症状であり,抑うつ症状の中核は抑うつ気分である」と教えられた。ところが,その数日後に行われた教授回診時のやりとりの中で,同僚のフレッシュマンが,「憂うつですか? と伺ったら,患者さんがはいと答えられたので抑うつ症状があると判断しました」と答えたところ「そんなのは問診じゃない!」とひどく叱られてしまった。それを見ていた私たちフレッシュマンは「そんなにまずいこと?」とあたふた……。
 後日,教授は,問診は患者さんの言葉を拾いながら行うべきであること,何十という気分や感情の表現方法があるように症状もそれぞれ違うのだから,こちらが勝手に決めつけてはいけないこと,そして,抑うつ気分があれば抑うつ症状で,抑うつ症状があるならうつ病だろうという単純な推論は絶対に避けるべきであることなどを話された。

学会告知板

第15回日本外来精神医療学会

ページ範囲:P.284 - P.284

 この度,第15回日本外来精神医療学会を2015年7月4日(土),5日(日)の両日にわたり,明治学院大学白金キャンパスにおいて開催することとなりました。
 外来精療医療がアプローチできる守備範囲を多様な方向から検討し,議論するとともに,臨床の現場での実践にも資するところのある未来に開かれた,「夢のある」学会の開催を目指しています。ご参加の皆様が研鑽を積まれ,臨床の現場に持ち帰ることのできる,有益な会にしたいと考えております。奮ってのご参加をお待ちしております。
テーマ 「健康から不適応へのスペクトラム—『なやみ』を聴く,『やまい』を診る」
大会長 阿部 裕(明治学院大学心理学部,四谷ゆいクリニック)
会 期 2015年7月4日(土),5日(日)9:30〜17:00
会 場 明治学院大学白金キャンパス(〠108-8636 東京都港区白金台1-2-37)

UBOM(簡易客観的精神指標検査)技術講習会・2015

ページ範囲:P.321 - P.321

 臺 弘先生(元 東大教授)の提唱による簡易客観的精神指標検査(Utena's Brief Objective Measures:UBOM)は,精神機能の簡易な客観評価法です。UBOMは医療に関わる誰もが実施可能です。
主 催 NPO法人UBOM研究会
日 時 2015年8月22日(土),23日(日)
    8月22日(土)10:00〜17:00
    8月23日(日) 9:30〜14:30
会 場 コラッセふくしま 5階研修室(福島県福島市三河南町1-20)

論文公募のお知らせ

テーマ:「東日本大震災を誘因とした症例報告」

ページ範囲:P.257 - P.257

「精神医学」誌では,「東日本大震災を誘因とした症例報告」(例:統合失調症,感情障害,アルコール依存症の急性増悪など)を募集しております。先生方の経験された貴重なご経験をぜひとも論文にまとめ,ご報告ください。締め切りはございません。随時受け付けております。
ご論文は,「精神医学」誌編集委員の査読を受けていただいたうえで掲載となりますこと,ご了承ください。

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次号予告

ページ範囲:P.322 - P.322

投稿規定

ページ範囲:P.323 - P.324

著作財産権譲渡同意書

ページ範囲:P.325 - P.325

編集後記

著者:

ページ範囲:P.326 - P.326

 今回も原著論文を始めとして多くのご報告をいただき紙面を飾ることができました。以下,原著論文関連のみ書かせていただきますが,すべての筆者の方がたに篤くお礼申し上げます。
 先に内閣府から,2014年の東日本大震災に関連する自殺者数が22人であったことが公表された。2011年が55人,2012年が24人,2013年が38人だったので年々減っているとも言えるが,年ごとの変動が大きいとも言える。本号吉岡先生らによる公募論文では,岩手医科大学附属病院の救急を受診した震災関連の自殺企図例を詳細に論じられている。要因として急性ストレス反応や環境変化による2次的ストレスがあり,多くは気分障害などで精神科受診歴があると紹介されている。今後全国各地で大規模自然災害が予想される中,治療中あるいは未治療の患者さんへのアプローチを考える上で示唆が多く,ひいては自殺予防につながっていく大切なご研究を報告いただいた。

基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

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