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文献詳細

雑誌文献

精神医学57巻4号

2015年04月発行

文献概要

特集 リエゾン精神医学の現状と今後の展望(Ⅱ)

整形外科とリエゾン精神医学

著者: 本谷亮1 矢吹省司2 紺野愼一2 矢部博興1

所属機関: 1福島県立医科大学医学部神経精神医学講座 2福島県立医科大学医学部整形外科学講座

ページ範囲:P.273 - P.279

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はじめに
 痛みやしびれなどの症状を主訴とする患者のほとんどは,受診先として整形外科を選択する。整形外科では,理学所見や画像所見をもとに症状の原因を特定し,外科的治療(手術)や保存的治療(薬物療法,リハビリテーション)を行うのが一般的である。しかしながら,患者の中には,整形外科的治療のみでは改善が認められず,治療に難渋する例も少なくない。そのような場合は,症状の出現や維持に身体的問題だけではなく,心理社会的問題や精神医学的問題の関与していることが多い。痛みやしびれなど,主として整形外科が治療にあたる身体症状でも,症状が増悪,蔓延化し,自覚症状と他覚所見に解離が認められる患者には,精神科が整形外科と連携し,身体的側面と精神的側面の双方から患者の訴えるさまざまな症状,問題に対処していくリエゾン診療が必要である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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