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文献詳細

雑誌文献

精神医学57巻4号

2015年04月発行

文献概要

連載 精神科の戦後史・3

クラーク勧告(1968年)の検証と今日の課題

著者: 伊勢田堯1

所属機関: 1代々木病院精神科

ページ範囲:P.311 - P.318

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はじめに
 D. H. クラークは,1968年にWHOからわが国に派遣され日本政府に地域精神医療を推進するための「クラーク勧告」を行った。当時の日本は,病院中心の医療体制に進むのか海外の諸国が目指している地域ケアに向かうのか,ちょうど分岐点にあった。
 しかし,日本政府はこの勧告を受け入れることなく,国際的動向とは正反対の入院中心の医療体制を邁進することになった。戦後の精神医療史の中でひとつのエポックであった。
 本稿では,現在を知るために過去を知り,未来を展望するためにクラーク勧告を検証する。

参考文献

1) デービッド H.クラーク:日本における地域精神衛生—WHOへの報告.精神衛生資料.第3巻,第16号,pp165-191, 1969
2) Clark D(加藤正明監訳):日本における地域精神保健—WHOへの報告.〔Clark D(秋元波留夫他訳):精神医学と社会療法,医学書院,pp196-229,1982〕
3) D.H.クラーク報告・日本における精神衛生(1968).現代精神医学体系23A社会精神医学と精神衛生Ⅰ(懸田克射編集代表).中山書店,pp10-28,1980
4) D.H.クラーク(蟻塚亮二監訳):21世紀の精神医療:フルボーンは眠らない.創造出版,2002
5) 特集:英国における精神科医療改革の動向と精神医学.臨床精神医学 39(2):2010
6) 伊勢田堯:クラーク勧告の意味するもの—歴史的検証.ノーマライゼーション7月号:pp36-38, 2000
7) 伊勢田堯:精神保健福祉センターの役割と今後の展望.戸山サンライズ通巻217号,pp1-4, 2004
8) 伊勢田堯,西田淳志:近年のイギリスにおける精神保健改革.専門医のための精神科臨床リュミエール22.世界における精神科医療改革(松原三郎,佐々木一責任編集).中山書店,pp24-40, 2010
9) 伊勢田堯:フィンランドとベルギーの精神医療改革:発病早期の治療vs長期入院の解消.こころの科学通巻180号,2015(印刷中)
10) こころの健康政策実現構想会議編:こころの健康社会を目指す.やどかり出版,2013
11) 加藤正明:我が国における社会精神医学の過去,現在,未来について.日社精医誌 9:45-52, 2000
12) OECD Review of Health Care Quality:JAPAN-Assessment and Recommendations. 2014
13) Shepherd G:Institutional Care and Rehabilitation, Longman Group Limited. 1984(ジェフ・シェパード著,斎藤幹郎,野中猛訳:病院医療と精神科リハビリテーション.星和書店,1993)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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