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巻頭言
精神科救急医療が目指す地平—内的災害難民の救援から精神科医療の構造改革へ
著者: 平田豊明12
所属機関: 1千葉県精神科医療センター 2日本精神科救急学会
ページ範囲:P.328 - P.329
文献購入ページに移動わが国における精神科救急の萌芽は,1950年代の半ば頃,精神衛生法が施行され,クロルプロマジンが普及し始めた時代に遡る。この頃から在宅患者が増え始め,救急診療を要するケースも出てきたためである。患者を病院に収容し続ける限り,救急医療のニードは発生しない。逆に,在宅患者がいる限り,救急に無縁の臨床はない。
現代の精神科医療では,在宅医療と救急医療は車の両輪である。どちらが欠けても車は進まない。そして,救急医療の守備範囲は拡大しつつある。かつて精神科救急とは措置入院の円滑な執行にほぼ同義であったが,現在では,受診前の電話相談に始まって,救急外来や急性期入院治療の技術論,合併症治療などでの病院間連携,それに在宅医療支援サービスへのリンケージに至るまで,精神科救急の守備範囲は広がっている。この意味でも,救急に無縁の臨床はない。
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