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文献詳細

雑誌文献

精神医学57巻5号

2015年05月発行

文献概要

巻頭言

精神科救急医療が目指す地平—内的災害難民の救援から精神科医療の構造改革へ

著者: 平田豊明12

所属機関: 1千葉県精神科医療センター 2日本精神科救急学会

ページ範囲:P.328 - P.329

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 救急に無縁の臨床なし
 わが国における精神科救急の萌芽は,1950年代の半ば頃,精神衛生法が施行され,クロルプロマジンが普及し始めた時代に遡る。この頃から在宅患者が増え始め,救急診療を要するケースも出てきたためである。患者を病院に収容し続ける限り,救急医療のニードは発生しない。逆に,在宅患者がいる限り,救急に無縁の臨床はない。
 現代の精神科医療では,在宅医療と救急医療は車の両輪である。どちらが欠けても車は進まない。そして,救急医療の守備範囲は拡大しつつある。かつて精神科救急とは措置入院の円滑な執行にほぼ同義であったが,現在では,受診前の電話相談に始まって,救急外来や急性期入院治療の技術論,合併症治療などでの病院間連携,それに在宅医療支援サービスへのリンケージに至るまで,精神科救急の守備範囲は広がっている。この意味でも,救急に無縁の臨床はない。

参考文献

1) 厚生労働省精神・障害保健課,国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所編:精神保健福祉資料(平成24年6月30日調査の概要).2014
2) 平田豊明,杉山直也,澤温,他:平成25年度厚生労働科学研究「自治体病院協議会傘下の精神科病院における重症患者の調査研究」報告書(総括研究「精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制に関する研究」の分担研究).2014
3) 厚生労働省精神・障害保健課:長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性.2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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