文献詳細
文献概要
紹介
統合失調症患者の就学支援デイケアの実際
著者: 武田隆綱1
所属機関: 1武田メンタルクリニック
ページ範囲:P.443 - P.449
文献購入ページに移動はじめに
青年期発病統合失調症は予後不良例が多い4〜6)とされているが,筆者は高校や専門学校や大学などの高等教育への未就学や中途退学による患者の学歴に対する劣等感が意欲や発動性に影響を与え,予後を不良にしている要因の一部であると考えている。筆者はこの仮説に基づき1985年から4年間にわたって群馬大学精神科デイケアで就学問題を有する青年期発病統合失調症患者の就学支援に集中的に取り組んだ。その後も統合失調症患者の就学支援に継続して取り組んでおり,これまでに就学支援により改善した症例をいくつか報告し7〜11,13〜17),就学支援の適応,有効性,患者や家族への働きかけ,学校との連携,勉強指導方法について述べてきた12,18〜20)。今回は,筆者らが群馬大学精神科デイケアで行った就学支援の実際について紹介する。
青年期発病統合失調症は予後不良例が多い4〜6)とされているが,筆者は高校や専門学校や大学などの高等教育への未就学や中途退学による患者の学歴に対する劣等感が意欲や発動性に影響を与え,予後を不良にしている要因の一部であると考えている。筆者はこの仮説に基づき1985年から4年間にわたって群馬大学精神科デイケアで就学問題を有する青年期発病統合失調症患者の就学支援に集中的に取り組んだ。その後も統合失調症患者の就学支援に継続して取り組んでおり,これまでに就学支援により改善した症例をいくつか報告し7〜11,13〜17),就学支援の適応,有効性,患者や家族への働きかけ,学校との連携,勉強指導方法について述べてきた12,18〜20)。今回は,筆者らが群馬大学精神科デイケアで行った就学支援の実際について紹介する。
参考文献
1) 江熊要一:精神分裂病寛解者の社会的適応の破綻をいかに防止するか.精神経誌 64:921-927, 1962
2) 稲本淳子,池田朋広,加藤進昌:長期的視点に立った精神科治療・リハビリテーションを行う過程において「就学支援」が有効であった統合失調症患者4症例への考察.精神科治療学 26:105-112, 2011
3) 石橋綾,藤枝由美子,清水希実子,他:精神科デイケアにおけるアウトリーチ支援を生かした就学支援の取り組み—東大デイホスピタルの実践から.統合失調症研究 2:149, 2012
4) Kimura S, Asai S, Wakeno M, et al:On early and mid-adolescent schizophrenia—Part Ⅱ:Prognosis, course and defect. Folia Psychiat Neurol Jpn 32:457-470, 1978
5) Lay B, Blanz B, Hartmann M, et al:The psychosocial outcomes of adolescent-onset schizophrenia:A 12-year followup. Schizophr Bull 26:801-816, 2000
6) Ropcke B, Eggers G:Early-onset schizophrenia:A 15-year follow-up. Eur Child Adolesc Psychiatry 14:341-350, 2005
7) 武田隆綱,渡辺泰雄,渡会昭夫:就学援助により改善のみられた思春期発病精神分裂病の1症例.精神医学 39:395-401, 1997
8) 武田隆綱:就学援助を通して改善のみられた精神分裂病の1症例.最新精神医学 4:187-194, 1999
9) 武田隆綱,渡会昭夫,渡辺泰雄:思春期発病精神分裂病患者に対する就学援助—2症例の比較検討を通して.臨床精神医学 28:1127-1136, 1999
10) 武田隆綱:指向課題援助を通して改善のみられた思春期発病精神分裂病の1症例.臨床精神医学 28:1243-1250, 1999
11) 武田隆綱:大学就学援助により改善のみられた精神分裂病の1症例.最新精神医学 5:609-616, 2000
12) 武田隆綱,渡会昭夫,渡辺泰雄:日常臨床における青年期発病精神分裂病患者に対する就学援助.精神科治療学 15:1089-1097, 2000
13) 武田隆綱:高校就学および就労援助を通して改善のみられた思春期発病精神分裂病の1症例.精神療法 27:505-513, 2001
14) 武田隆綱:指向する課題の達成に向けた援助により改善のみられた精神分裂病の2症例.精神療法 28:192-201, 2002
15) 武田隆綱:思春期発病統合失調症患者における高校就学援助の意義—高校を中途退学した2症例の比較検討を通して.精神科治療学 18:1077-1086, 2003
16) 武田隆綱:統合失調症の大学生に対する就学援助.最新精神医学 8:479-487, 2003
17) 武田隆綱:思春期発病統合失調症患者に対する高校就学援助.精神療法 29:706-714, 2003
18) Takeda T, Watanabe Y, Hasegawa K:Behavior patterns of patients with hebephrenic schizophrenia when they attempt academic study. Psychiatry Clin Neurosci 58:125-132, 2004
19) 武田隆綱:統合失調症患者の就学援助.精神科治療学 21:185-190, 2006
20) 武田隆綱:統合失調症患者に対する高等教育の支援.精神医学 50:605-612, 2008
21) 武田隆綱:援助つき教育.最新精神医学 18:536-541, 2013
22) World Health Organization:The ICD-10 Classification of Mental and Behavioral Disorders:Clinical Discriptions and Diagnostic Guidelines. World Health Organization, Geneva, 1992
掲載誌情報