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ページ範囲:P.494 - P.494
文献購入ページに移動折しも,連載『精神科の戦後史』も5回目に入り,団塊の世代の精神科医には懐かしい思いがするが,その当時は分類も簡単だった。Laingの反精神医学の影響がまだ色濃く残り,疾患それ自体(illness)よりも疾患とされるものを取り巻く環境の反応(caseness)のほうを重視する姿勢が強かった。統合失調症が主対象だったが,その患者を周囲がいかにcaseにしないで支えていくかということに目がいったのである。そんな時代には分類など大した問題ではなかったのである。今回の連載には「宇都宮病院事件」も載っているが,最近某大学で起こった精神保健指定医レポート捏造事件の当事者たちは,賛否はあったが指定医制度ができたきっかけにこの事件があり,その背後には「社会的入院」というまさにcasenessの問題があったということを知っていたのであろうか。
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