icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学57巻7号

2015年07月発行

文献概要

巻頭言

ストレスチェック制度によって職場のメンタルヘルス不調者は減少するか?—面接指導による事後措置の効果

著者: 中村純12

所属機関: 1産業医科大学 2北九州古賀病院

ページ範囲:P.496 - P.497

文献購入ページに移動
 労働安全衛生法(安衛法)が改正され,50人以上の従業員がいる企業では,「心理的な負荷を測定するための検査」すなわちストレスチェック制度が2015年12月から始まる。この制度は,この十数年前から職場における精神的な不調者をいかに早期発見し,治療に導くかということで考えられていたものである。1998年以降,わが国では働き盛りの自殺者が多い状況が続き,職場のメンタルヘルス不調者は減らず,休職者だけでなく,治療中の労働者の増加から企業の生産性を低下させていることも報告され,職場のメンタルヘルス対策への関心が高まった。特に過労自殺などによる労災認定件数が増加しており,企業にとっては安全配慮義務の観点からもメンタルヘルス対策は喫緊の課題である。
 ところでメンタルヘルス不調という用語から受ける印象は,うつ状態や適応障害などの精神疾患を指すと思われ,発症要因としては生物学的要因よりも環境要因や心理的要因が大きな割合を占めると考えられる。現状では精神疾患に罹患した多くの人が働いており,その再発を予防することも企業には要請されている。しかし,その方法や介入についてのエビデンスはきわめて少ない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?