文献詳細
オピニオン DSM-5—私はこう思う
DSM-5にしがみつかない生き方—臨床家の輪に加わりたい大学人のために
著者: 井原裕1
所属機関: 1獨協医科大学越谷病院こころの診療科
ページ範囲:P.608 - P.610
文献概要
操作主義診断学の普及の状況を検証する方法がある。それは精神神経学会専門医を対象に,DSM-5抜き打ちテストを行うのである。直ちに発覚するであろう,「ほとんどの専門医は,統合失調症の診断基準すらうろ覚えである」という事実が。
DSM-Ⅲが導入されたのは,最近のことではない。今となってみれば,ワンス・アポン・ア・タイム,いにしえの「昭和」の昔,1980年の出来事である。当時,世界では米ソの冷戦が続き,日本は戦後の55年体制の中にあった。国鉄は健在で津々浦々を走っており,プロ野球界では王貞治がこの年はまだ現役であった。コンピュータは汎用化されておらず,インターネットやスマートフォンは誕生すらしていない。
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