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雑誌詳細

文献概要

オピニオン DSM-5—私はこう思う

「統合失調症性の」または「統合失調症様の」異質性について

著者: 田中伸一郎1

所属機関: 1杏林大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.628 - P.630

 DSM-5における統合失調症は,①妄想,②幻覚,③まとまりのない思考(発語),④ひどくまとまりのない,または異常な運動行動(緊張病を含む),⑤陰性症状,からなる5つの精神病性障害の症状領域によって定義される「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害」の1つに位置付けられる。
 統合失調症を診断する際には,まず,5項目の1つも満たさない「統合失調型パーソナリティ障害」を除外し,1つのみを満たす「妄想性障害」「緊張病」が検討され,ついで,持続期間が1か月未満の「短期精神病性障害」,6か月未満の「統合失調症様障害」が検討されたのち,「物質・医薬品誘発性精神障害」「他の医学的疾患による精神病性障害」が除外される,といった手続きを踏まなければならない。

参考文献

1) 加藤敏:クレペリンにおける早発痴呆の創出過程.統合失調症の語りと傾聴.金剛出版,pp193-216, 2005
2) 松本卓也,加藤敏:要素現象の概念—統合失調症診断学への寄与.精神経誌 114:751-763, 2012
3) 岡一太郎:統合失調症の「一段高い現実性」について.臨床精神病理 36:69-75, 2015
4) 田中伸一郎:統合失調症様の微細な異質性がみられた遷延性うつ病—多次元精神医学の見地から.精神経誌 116:15-45, 2014
5) 田中伸一郎:統合失調症(DSM)の診断基準を満たさないが,それでも統合失調症であるような一群について.臨床精神病理 36:76-83, 2015

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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