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文献詳細

雑誌文献

精神医学57巻9号

2015年09月発行

連載 精神科の戦後史・8

精神科専門医制度の誕生とその背景

著者: 山内俊雄1

所属機関: 1埼玉医科大学

ページ範囲:P.771 - P.780

文献概要

はじめに
 精神科専門医制度が成立するまでの状況がどのようであったかは次の言葉がよく言い表している。
 「日本精神神経学会での過去30年余に及ぶ認定医・専門医制度をめぐる議論は賛成・推進から反対・凍結に至るスペクトルムを持つ多くの論点を提起し,多岐にわたる問題を掘り起こしてきた。その真摯な議論はいずれももっともな主張を含んでいる。・・・・・認定医・専門医制度をめぐる学会での議論をたどると,・・・・理想を捨てずに,少しの異論をも取り上げて民主的に討議し,具体的な解決の方策を模索し,根気よく折り合えるところを探ってきた努力を跡付けることができる」(上野豪志)17)
 本論では,日本精神神経学会(以下,当学会)において精神科専門医制度(以下,特別の断りがなければ専門医制度と記述する)がどのような議論を経て,何を目指して成立したかを述べてみたい。
 なお,専門医制度の呼称はわが国の専門医制度をめぐる動きに呼応して,「専門医」から一時「認定医」へと変わり,その後,ふたたび「専門医」へと変更されたので,本論文では両者とも同じ意味として用いることにする。

参考文献

1) 伊崎公徳:あの時代の記録・金沢学会.精神医学 57:363-377, 2015
2) 懸田克躬:精神医学教育・専門医制度委員会中間報告.精神経誌 70:72-73, 1968
3) 懸田克躬:精神科専門医制度について,シンポジアム I.精神医学教育と専門医制度をめぐって.精神経誌 70:627-630, 1968
4) 金澤彰:精神医療の正しい発展のために.精神経誌 70:630-632, 1968
5) 金澤彰:「専門医制度」に対する疑問.日本医事新報第2327号:57-60, 1968
6) 笠松章:シンポジアムⅠ,精神医学教育と専門医制度をめぐって.精神経誌 70:627-639, 1968
7) 草間良雄:専門医制度試案(1).日本医事新報第1398号:399, 1951
8) 草間良雄:専門医制度試案(2).日本医事新報第1399号:462, 1951
9) 森山公夫:認定医問題をめぐる学会内外の動向.精神経誌 93:902-905, 1991
10) 中根允文:精神科医認定について—精神医学講座担当者会議の討論から.精神経誌 92:630-636, 1990
11) 西園昌久:精神医学講座担当者会議から.精神経誌 95:744-748, 1993
12) Ohashi H, Nakayama K, Saito M, et al, ed.:Proceedings, World Psychiatric Association Regional Symposium. 1982. The Japanese Society of Psychiatry and Neurology, World Psychiatric Association(WPA京都シンポジウム記録(その4),シンポジウム6.各国における精神医学教育のトレーニング.精神経誌86:361-396, 1984
13) 精神医学教育・専門医制度委員会:精神医学教育・専門医制度委員会の報告.精神経誌 71:1214-1218, 1969
14) 「資料」学会認定医制に関する答申.精神経誌 96:1235-1247, 1994
15) 諏訪望:精神医学における教育と診療—その根本方針に関する一考察.日本医事新報第1531号:3368-3373, 1953
16) 諏訪望:日本における精神科卒後教育の諸問題.臨床精神医学 5:1479-1483, 1976
17) 上野豪志:委員会活動 日本精神神経学会における認定医制度をめぐる議論の経緯と到達点.「日本精神神経学会百年史」pp474-519,日本精神神経学会,2003
18) 山口成良:日本における精神科卒後教育の現状.臨床精神医学 13:767-773, 1984
19) 山口成良,中村一郎:日本の大学病院における精神医学卒後教育について—アンケート調査の結果から.精神経誌 89:857-861, 1987
20) 山内俊雄:学会認定医制問題の現状と問題点.精神経誌 94:939-942, 1992
21) 山内俊雄:精神医療にとって認定医制度の持つ意味.精神経誌 99:985-990, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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