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書評
—加藤敏 著—精神病理・精神療法の展開—二重らせんから三重らせんへ
著者: 新宮一成1
所属機関: 1京都大学大学院人間・環境学研究科
ページ範囲:P.782 - P.782
文献購入ページに移動 このたびの加藤敏氏の新著を,私は「精神科医が精神科医であるための教科書」と呼びたい。それほどに,精神科医らしさというべきものを隅々まで照らし出している書物だからである。精神科医は,自ら精神科を標榜したことだけで自分が精神科医であるという確信を持てるわけではない。自己確信の裏返しの言説にもしばしばぶつかる。「精神科は脳内科でええんや」と,私が研修医の頃に,ある先輩医師が得意げに言い放っていた。自分の虚無主義に酔っていたのであろう。そのような虚しい自己満足の影を,この本は一切引き摺っていない。精神科医の自己確信はそのすべてが力強く肯定されている。
どこからそれは来るのだろうか。実は,この世の中で精神科医が生き延びるための生業に焦点を当てていないという逆説によってこそ,この本において,精神科医の自覚のありようが示されているのである。そのありようが隠されているとすれば,それはその周辺で輝いているコロナによってこそ,それがより鮮明にその存在を発揮するためである。
どこからそれは来るのだろうか。実は,この世の中で精神科医が生き延びるための生業に焦点を当てていないという逆説によってこそ,この本において,精神科医の自覚のありようが示されているのである。そのありようが隠されているとすれば,それはその周辺で輝いているコロナによってこそ,それがより鮮明にその存在を発揮するためである。
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