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Standby guardianship—患者の自己決定に基づく親権代行
著者: 石川博康1 猪股良之2 神林崇2 清水徹男2
所属機関: 1中通リハビリテーション病院精神科 2秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座
ページ範囲:P.87 - P.94
文献購入ページに移動単独親権者が重篤な身体疾患を抱えた場合,当該家庭の子どもの権利擁護は複雑で困難な課題となる。米国の場合,エイズやがんなど,進行性または致死性の疾患に罹患した親権者が子どものために利用する親権代行制度standby guardianshipが州法で整備されている。この制度の特徴は,親権者が自身の子に対してstandby guardian(後見待機人)を予め指名し,死亡のみならず,親権者の同意などでも後見待機人による親権代行を開始できるという柔軟な制度設計にある。対照的に,本邦では遺言により後見人を指定する指定後見人の制度があるのみで,実際の利用も乏しい。また,このような子どもの福祉の問題は,医療者によって早期に認識されやすいものと思われるが,これまで医療者の間では議論されてこなかった。親権代行は子どもの権利を守る重要な社会的仕組みの1つであり,本邦においてもstandby guardianshipのような当事者にとっても医療者にとっても分かりやすい制度の確立が望まれる。
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