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書評
—広沢正孝 著—DSM時代における精神療法のエッセンス—こころと生活をみつめる視点と臨床モデルの確立に向けて フリーアクセス
著者: 阿部隆明12
所属機関: 1自治医大・精神医学 2自治医科大学とちぎ子ども医療センター子どもの心の診療科
ページ範囲:P.883 - P.883
文献概要
本書は2部構成で,第Ⅰ部は基礎編として,自閉スペクトラム症,統合失調症,うつ病の基本的な精神病理を論じている。特に自閉スペクトラム症の心の構造論は著者の十八番で,6年前の著書から一貫して提唱されている格子型人間の心の特徴が解説されている。統合失調症とうつ病に関しては歴史的な研究を踏まえて,そのそれぞれの病態に関する精神病理学な知見が手際よくまとめられている。さらに,この3大精神障害に関しては,症例を呈示した上で,精神療法のポイントについても触れている。第Ⅱ部は,応用編として,幻覚・妄想,うつ,不安という症状ごとに,症例を挙げて背景疾患の鑑別や精神療法のポイントについて述べている。実際の臨床では,むしろこちらの説明がより有用であるが,第Ⅰ部の知識を踏まえて,理解しやすいように構成されている。
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