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抄録
初診時86歳の男性。84歳時より妻に対するカプグラ症状や幻の同居人が出現した。認知機能障害を認めたが比較的良好なADLである一方,誤認が活発であったことから,レビー小体型認知症(DLB)を疑った。認知機能の変動も認め,ドパミントランスポーターシンチグラフィで両側線条体への集積は低下しており,probable DLBと診断した。DLBの臨床症状や経過は多様であり,現行の診断基準を踏まえつつも,誤認等のDLBらしさに注目して診療にあたることが大切である。
初診時86歳の男性。84歳時より妻に対するカプグラ症状や幻の同居人が出現した。認知機能障害を認めたが比較的良好なADLである一方,誤認が活発であったことから,レビー小体型認知症(DLB)を疑った。認知機能の変動も認め,ドパミントランスポーターシンチグラフィで両側線条体への集積は低下しており,probable DLBと診断した。DLBの臨床症状や経過は多様であり,現行の診断基準を踏まえつつも,誤認等のDLBらしさに注目して診療にあたることが大切である。
参考文献
1) Josephs KA:Capgras syndrome and its relationship to neurodegenerative disease. Arch Neurol 64:1762-1766, 2007
2) 狩野正之,織内昇,三村將:レビー小体型認知症の1例にみられたカプグラ症状について—初発時と再発時の局所脳血流の違いによる症状発現機序の考察.老年精神医学雑誌 25:781-790, 2014
3) McKeith IG, Dickson DW, Lowe J, et al:Diagnosis and management of dementia with Lewy bodies:Third report of the DLB Consortium. Neurology 65:1863-1872, 2005
4) 長濱康弘:BPSDの初期症状.老年精神医学雑誌 26(増刊-Ⅰ):40-46, 2015
5) 髙橋三郎,大野裕監訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014
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