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文献詳細

雑誌文献

精神医学58巻3号

2016年03月発行

文献概要

研究と報告

精神障害者の家族ピア教育プログラム(家族による家族学習会)が家族のエンパワメントに与える効果—プログラム実施者と受講者の効果の比較

著者: 二宮史織1 中村由嘉子12 蔭山正子3 横山恵子4 桶谷肇1 小林清香5 大島巌16

所属機関: 1特定非営利活動法人地域精神保健福祉機構 2名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野 3東京大学大学院医学系研究科地域看護学分野 4埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科精神看護学 5東京女子医科大学神経精神科 6日本社会事業大学社会福祉学部

ページ範囲:P.199 - P.207

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抄録
 家族学習会は,精神障害を持つ方の家族が実施および受講する構造化された家族ピア教育プログラムである。本研究では,家族学習会が家族のエンパワメントの向上に与える影響の検討,およびプログラム実施者と受講者の効果の比較を目的とし,プログラム受講家族147名,実施家族89名を対象に調査を実施した。本研究の結果,家族学習会はプログラム実施家族,受講家族,双方のエンパワメントを向上させること,プログラム実施者には「援助する人が最も援助を受ける」というヘルパーセラピー原則に則った効果が期待できることが確認できた。家族学習会は,家族が持つ力を,ピア教育という形で発揮できる重要なプログラムの1つであると考えられる。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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