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文献詳細

雑誌文献

精神医学58巻3号

2016年03月発行

資料

精神科新規入院者における入院長期化のリスク要因—精神科救急入院患者レジストリを用いた分析

著者: 杉山直也1 野田寿恵1 澤野文彦1

所属機関: 1公益財団法人復康会沼津中央病院

ページ範囲:P.235 - P.244

文献概要

抄録
 重度かつ慢性患者の臨床特徴と入院長期化リスク要因を明らかにするため,当院の救急入院患者レジストリを用いて分析した。2011〜2013年度の入院者(n=1,114)を対象とし,残留率を指標に全国値(精神保健福祉資料)と比較したところ,精神科救急入院料病棟での集中的ケアによる早期退院効果が確認された。対象を1年以内に退院した1,041名と1年超の59名に分けて2群間比較したところ,長期在院群でF2診断,罹病期間,措置入院,単身,高症状スコア,他害歴,近隣トラブル,住居問題,家族との関係悪化,抗精神病薬の大幅増,などが有意に多かった。今後の入院長期化防止や地域ケア体制構築に役立つ見識となる可能性がある。

参考文献

1) 安西信雄:精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制等に関する研究.平成25年度厚生科学研究費補助金(障害者対策総合研究事業).精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制等に関する研究(研究代表者 安西信雄).統括研究報告.pp1-15, 2014
2) 藤井康男:重症入院患者の薬物療法治療指針に関する研究 6施設による統合失調症197例のクロザピン導入前後の入院期間の変化.平成26年度厚生科学研究費補助金(障害者対策総合研究事業).精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制等に関する研究(研究代表者 安西信雄).分担研究報告.pp147-157, 2015
3) 平田豊明:精神科救急医療のコアと近未来.精神科治療学 30:223-228, 2015
4) 萱間真美:重症入院患者の地域ケア指針に関する研究.平成25年度厚生科学研究費補助金(障害者対策総合研究事業).精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制等に関する研究(研究代表者 安西信雄).分担研究報告.pp107-125, 2014
5) 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所:630調査関連データ. http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/vision/datataiinritsu.html
6) 河野稔明,白石弘巳,立森久照,他:精神科病院の新入院患者の退院動態と関連要因.精神経誌 114:764-781, 2012
7) 厚生労働省:精神保健医療福祉の改革ビジョン,平成16年9月 http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/09/dl/tp0902-1a.pdf
8) 厚生労働省:精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会とりまとめ.2012年6月29日 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ea3j.html
9) 佐竹直子,瀬戸屋雄太郎:急性期病棟における急性期ケアマネジメントのモデル作りに関する研究.平成20〜22年度精神・神経疾患研究開発費.「地域中心の精神保健医療福祉」を推進するための精神科救急及び急性期医療のあり方に関する研究(主任研究者 伊藤順一郎).分担研究報告.pp143-196, 2011
10) 杉山直也,塚本哲司:精神科救急医療の機能評価と質的強化に関する研究(事業実施機関 日本精神科救急学会).平成21年度障害者程度区分認定等事業補助金(障害者保健福祉推進事業).事業報告書.pp3-17, 2010
11) 杉山直也:特集 精神科救急の最新知識—統合失調症.臨床精神医学 43:685-690, 2014
12) 立森久照,竹島正,粟田主一:わが国の長期在院者の現況と推移.精神科治療学 29:13-18, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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