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短報
大うつ病性障害を併存した身体症状症にduloxetineが著効した1例
著者: 岸野恵1 向井馨一郎1 清野仁美1 松永寿人1
所属機関: 1兵庫医科大学精神科神経科学講座
ページ範囲:P.443 - P.446
文献購入ページに移動8年間にわたりめまい,ふらつき,動悸,四肢のしびれ,頭重感,全身倦怠感,胃部不快感,手の震えなどの多彩な身体症状を呈した63歳女性の身体症状症の治療経過を報告した。症状悪化に関する不安を持続的に抱き,症状改善を求めて多数の医療機関を受診しDSM-5の身体症状症の診断基準を満たしていた。また,患者は抑うつ気分を呈していたが,一般にうつ病性障害の身体症状は気分エピソードが存在する期間に限られるが,本症例は身体症状が抑うつ気分に先行していたため,身体症状から2次的に大うつ病性障害を合併したと考えた。Duloxetineの投与,疾病教育を行うことで身体症状の改善を認めた。薬物療法が確立していない身体症状症にduloxetineの有用性が示唆された。
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