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編集後記
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ページ範囲:P.456 - P.456
文献購入ページに移動 本号の特集は「成人の自閉スペクトラム症とライフステージの課題」です。冒頭の企画説明において広沢氏が述べているように,疾患を抱える中で「個体差(性差,年齢差)に加え,生育史の多様性,彼らの(成人としての)生活環境の幅広さ」が慢性疾患の生涯経過を多様にしています。これを踏まえて各著者の症例経験を中心にそうしたさまざまな視点を通してその多様性が論じられており,読み応えがあり広沢氏が目指した「臨床実践理論」の域に近づいたと感じられました。
近年,各精神疾患の発症前から発症後までの20年,30年という単位での仔細な生涯経過の実態が明らかにされつつあります。疾患の基本的病態を基盤に,胎生期からはじまりその後のライフステージの中で,さまざまな生物学的,心理的,環境的,文化的な影響(ポジティブな影響もネガティブな影響も含め)を受けながら,おそらく基本的病態も変化しながら疾患は経過していくと思われます。したがって,慢性に経過する疾患に関する臨床実践理論を構築することは容易ではなく,ともすると個性ということで真実の探究が放棄されることもあります。しかし,医学や医療には“個性”から普遍化できるものを抽出して,将来の患者に役立てることが求められます。
近年,各精神疾患の発症前から発症後までの20年,30年という単位での仔細な生涯経過の実態が明らかにされつつあります。疾患の基本的病態を基盤に,胎生期からはじまりその後のライフステージの中で,さまざまな生物学的,心理的,環境的,文化的な影響(ポジティブな影響もネガティブな影響も含め)を受けながら,おそらく基本的病態も変化しながら疾患は経過していくと思われます。したがって,慢性に経過する疾患に関する臨床実践理論を構築することは容易ではなく,ともすると個性ということで真実の探究が放棄されることもあります。しかし,医学や医療には“個性”から普遍化できるものを抽出して,将来の患者に役立てることが求められます。
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