icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学58巻6号

2016年06月発行

文献概要

資料

東京都区西北部精神科救急における危険ドラッグ使用患者の臨床的特徴

著者: 小林七彩1 高木俊輔1 尾﨑茂2 中村満23

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部附属病院精神科 2公益財団法人東京都保健医療公社豊島病院 3成増厚生病院

ページ範囲:P.513 - P.523

文献購入ページに移動
抄録
 2002年から2014年に豊島病院精神科に危険ドラッグ使用による精神症状で緊急措置鑑定を要した40症例の特徴について検討した。危険ドラッグ使用者は若年男性に多く,危険ドラッグ使用開始以前の措置入院の経験は2割以下だった。危険ドラッグ使用者による措置入院者数は2012年頃より増加し,2014年夏頃より急速に減少していた。規制の強化が奏功し危険ドラッグの使用による措置入院患者は減少傾向である。危険ドラッグの毒性の強さは既存の違法薬物より強力な可能性が示唆された。危険ドラッグの長期的影響の研究,包括的な薬物乱用を阻止する仕組みの整備が必要である。

参考文献

1) 谷渕由布子,松本俊彦:危険ドラッグをめぐる諸問題.精神医学 57:105-117, 2015
2) 谷渕由布子,松本俊彦:薬物依存症専門外来における脱法ハーブ乱用・依存患者の臨床的特徴:覚せい剤乱用・依存患者との比較.精神経誌 115:463-476, 2013
3) 谷渕由布子,松本俊彦,立森久照,他:「脱法ドラッグ」乱用・依存患者の臨床的特徴.精神科治療学 29:113-121, 2014
4) 成瀬暢也:薬物乱用・依存.臨床精神医学 43:729-735, 2014
5) 船田正彦,富山健一,内海修,他:違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)の乱用拡大とその規制.精神保健研究 60:11-15, 2014
6) 船田正彦:違法ドラッグの精神依存並びに精神障害の発症機序と乱用実態把握に関する研究.平成21年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)総括研究報告書(H21-医薬-一般-031).2009
7) 船田正彦:カチノン系化合物の行動薬理学的特性とモノアミントランスポーターの関連性.平成25年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業:H24-医薬-一般-008).2013
8) 松本俊彦,谷渕由布子,高野渉,他:全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査.平成24年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)分担研究報告書.2012
9) 松本俊彦,立森久照,谷渕由布子,他:全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査.平成25年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)分担研究報告書.2013
10) 松本俊彦:脱法ドラッグ(危険ドラッグ)関連障害の疫学的動向とその症候学的特徴:「全国精神科医療施設における薬物関連傷害の実態に対する調査」より.精神科救急 17:22-27, 2014
11) 和田清:危険ドラッグ.日本病院薬剤師会病薬アワー.ラジオNIKKEI 2014年11月3日放送分(PDF).2014
12) 和田清,邱冬梅,嶋根卓也:飲酒・喫煙・くすりの使用についてのアンケート調査(2013年).平成25年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業).薬物乱用・依存等の実態把握と薬物依存症者に関する制度的社会資源の現状と課題に関する研究.研究報告書.pp17-94, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?