文献詳細
短報
重大な他害行為を行って当科に入院した2症例のその後の処遇について—警察の対応と医療観察法への導入の観点から
著者: 野口剛志1
所属機関: 1名寄市立総合病院心療内科・精神科
ページ範囲:P.691 - P.694
文献概要
症例1は被害妄想から母を暴行した後に当科に任意入院したが,警察が傷害事件として取り扱うことに抵抗を示したため医療観察法の処遇になるまでに期間を要した。
症例2は自宅を放火した後措置診察が行われたが,警察が他害行為を断定しなかったため当科に医療保護入院した。その後警察が逮捕立件しなかったためそのまま当科に入院中である。
今回我々が経験した2症例は警察の対応によってその後の処遇が大きく左右された。今後現行の法制度を適正に運用していくためには,医療側と司法側との意見交換の場,また,一般医療の立場から医療観察法による治療を提案できる仕組みが必要と思われた。
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