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文献概要
特集 精神科臨床にみる家庭・家族の現在—何が変わり何が変わらないのか?
働く母親と家族
著者: 布施泰子1
所属機関: 1茨城大学保健管理センター
ページ範囲:P.777 - P.783
文献購入ページに移動はじめに
男女共同参画社会と言われるが,現在のままの日本社会の状況では,たとえ保育園などのハードウェアを十分整えたとしても,女性がその力を発揮できるに至るには程遠い。本稿の前半では,日本の家族の母親に注目し,過去30年くらいの間に変化した点とまだ変化できていない点について述べる。
「家族療法のポストモダニズム」は,1990年代以降欧米から輸入された家族療法を出発点とした治療者参加型のアプローチで,方法論の柔軟性にその特徴がある。後半では,日本の家族が変化した点と変化していない点の間に生じる葛藤に関連する症例を提示し,ポストモダニズムの方法論を取り入れた治療を紹介する。
男女共同参画社会と言われるが,現在のままの日本社会の状況では,たとえ保育園などのハードウェアを十分整えたとしても,女性がその力を発揮できるに至るには程遠い。本稿の前半では,日本の家族の母親に注目し,過去30年くらいの間に変化した点とまだ変化できていない点について述べる。
「家族療法のポストモダニズム」は,1990年代以降欧米から輸入された家族療法を出発点とした治療者参加型のアプローチで,方法論の柔軟性にその特徴がある。後半では,日本の家族が変化した点と変化していない点の間に生じる葛藤に関連する症例を提示し,ポストモダニズムの方法論を取り入れた治療を紹介する。
参考文献
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3) 布施泰子,中川香代子,泉水紀彦,他:学生の精神保健相談におけるナラティヴセラピーの適用—その技法と効果について.Campus Health 50:227-230, 2013
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