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文献詳細

雑誌文献

精神医学58巻9号

2016年09月発行

文献概要

資料

精神科救急病棟における認知症患者の動向—一民間病院からの調査報告

著者: 臼井勝也1 森一也1 中川賀嗣12 松原良次3

所属機関: 1医療法人五風会さっぽろ香雪病院 2北海道医療大学心理科学部言語聴覚療法学科 3特定医療法人社団慶愛会札幌花園病院

ページ範囲:P.797 - P.804

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抄録
 精神科救急病棟における認知症患者の現状を明らかにするため,130人の認知症患者について在宅への退院率や入院が長期化する理由などを診療録より後方視的に調査した。3か月以内の在宅への退院率は33.1%であり,精神科救急病棟全体の66.4%と比較して低い数値であった。3か月以上の入院となった57人について,退院できなかった理由は「身体疾患」が22人と最も多かった。
 精神科救急病棟で認知症患者の比率が大きくなると病棟内でさまざまな問題が生じるだけでなく,在宅への退院率が低下して施設基準を維持していくことが困難となるため今後の対応策を考える必要があった。

参考文献

1) 北村立,長谷川充,倉田孝一:精神科救急医療の対象となった認知症高齢者の特性.老年精神医学 19:70-77, 2008
2) 澤温:精神科病院におけるスーパー救急.臨床精神医学 43:581-588, 2014
3) 清水芳郎,数井裕光,澤温,他:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia(BPSD)の治療目的で精神科救急を受診する高齢患者の実態調査.精神経誌 115:1113-1121, 2013
4) 山田浩樹,吉澤徹,峯岸玄心,他:精神科救急病棟(スーパー救急病棟)における入院患者の傾向—昭和大学附属鳥山病院A4病棟入院患者診療録調査から.臨床精神医学 44:891-898, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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