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書評
—Markus Reuber/Steven Schachter 編 吉野相英 監訳—てんかんとその境界領域—鑑別診断のためのガイドブック フリーアクセス
著者: 浜野晋一郎1
所属機関: 1埼玉県立小児医療センター・神経科
ページ範囲:P.924 - P.924
文献購入ページに移動本書は,私のような中途半端な人種でも,一度眺めてみたら,第1章から読み進んでしまう不思議な本である。具体的な症例呈示が多いからかもしれない。ただし,第1章のWilliam Gowersはてんかん症例として記載されているわけではない。本書の表題が,1907年に出版された“Border-land of Epilepsy”というGowersの著作に由来しているためである。“Border-land of Epilepsy”は誤診されていた症例の臨床経験を基に,てんかんと見誤りやすい周辺疾患を解説した成書である。本書もその系譜を受け継ぎ,50以上の症例が提示されている。症例の具体的な記載により,目の前にいる患者として疾患の理解を深められる。Gowersの著作から100年間のてんかん学の進歩にも対応し,自己免疫介在性てんかん,片頭痛とmigralepsy,小児のてんかん性脳症,自閉症,チック,ならびにてんかん発作の前駆現象においてはてんかん発作の予知に関する取り組みも解説している。併存症としてうつ病,精神病,パーソナリティ障害を取り上げ,アルコールとの関連にも一章を割き,てんかん併発疾患がほとんど網羅されている。
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