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短報
発熱・白血球増多を伴うカタトニアを呈した急速交代型双極性障害の1例
著者: 石島洋輔1 新井薫1 肝付洋1 中村雅之1 佐野輝1
所属機関: 1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科精神機能病学分野
ページ範囲:P.943 - P.948
文献購入ページに移動カタトニア(緊張病)は,さまざまな精神疾患や身体疾患を背景に生じ,精神運動の失調を来す症候群である。DSM-5ではカタトニアが特定用語となり,統合失調症以外の疾患にも適応が広がった。また,発熱や自律神経失調を呈するカタトニアは悪性カタトニアと呼ばれ,抗精神病薬による悪性症候群との関連性が議論されている。我々は双極性障害の症例において,発熱と白血球増多がカタトニアに先行し,カタトニアの改善とともに消退した現象を観察した。本症例は悪性カタトニアの症候を部分的に呈しており,非悪性と悪性カタトニアの連続性が示唆された。また,発熱・白血球増多に着目することは,カタトニアの早期診断に寄与すると考えられた。
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