icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学59巻10号

2017年10月発行

文献概要

短報

発熱・白血球増多を伴うカタトニアを呈した急速交代型双極性障害の1例

著者: 石島洋輔1 新井薫1 肝付洋1 中村雅之1 佐野輝1

所属機関: 1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科精神機能病学分野

ページ範囲:P.943 - P.948

文献購入ページに移動
抄録
 カタトニア(緊張病)は,さまざまな精神疾患や身体疾患を背景に生じ,精神運動の失調を来す症候群である。DSM-5ではカタトニアが特定用語となり,統合失調症以外の疾患にも適応が広がった。また,発熱や自律神経失調を呈するカタトニアは悪性カタトニアと呼ばれ,抗精神病薬による悪性症候群との関連性が議論されている。我々は双極性障害の症例において,発熱と白血球増多がカタトニアに先行し,カタトニアの改善とともに消退した現象を観察した。本症例は悪性カタトニアの症候を部分的に呈しており,非悪性と悪性カタトニアの連続性が示唆された。また,発熱・白血球増多に着目することは,カタトニアの早期診断に寄与すると考えられた。

参考文献

1) Fink M, Taylor MA:Catatonia - A Clinician's Guide to Diagnosis and Treatment. Cambridge University Press, Cambridge, 2003(鈴木一正訳:カタトニア臨床医のための診断治療ガイド.星和書店,pp46-52, pp128-131, 2007)
2) 小林聡幸,山家俊美,加藤敏:緊張病性亜昏迷状態を呈し統合失調症が疑われた若年周期精神病.精神科治療学23:891-897, 2008
3) Kronfol Z, Hamdan-Allen G, Black DW:Fever and leukocytosis:physical manifestations of bipolar affective disorder? Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry 12:887-891, 1988
4) 岡田俊:思春期における周期性精神病:診断概念とその病態.臨床精神医学37:293-296, 2008
5) 大久保善朗:カタトニア(緊張病)症候群の診断と治療.精神経誌112:396-401, 2010
6) 須賀英道:特集 非定型精神病の新しい診断基準:その意義と成立までの経過.最新精神医学18:301-305, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?