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文献詳細

雑誌文献

精神医学59巻10号

2017年10月発行

資料

社会的ひきこもり当事者の実態および保護者のニーズについての一考察

著者: 川乗賀也1

所属機関: 1岩手県立大学社会福祉学部

ページ範囲:P.953 - P.958

文献概要

抄録
 ひきこもりの支援において保護者が重要と考えられるので,ひきこもりを支援するNPO法人に相談に訪れた保護者から当事者の様子を調査し,今後の支援のあり方を検討した。40名の保護者を調査したところ当事者の50%が10年以上の長期にわたりひきこもっており,その保護者においても高齢化による支援力の低下が懸念された。また保護者のニーズとしては当事者だけでなく保護者を含めた相談支援の充実や,当事者の働ける場所を求めていることが分かった。今後,保護者にむけたインターネットを活用した相談情報の発信や,公共施設などでの相談案内などの啓発が重要であると思われた。

参考文献

1) 浅川潔司,東由香,古川雅文:青年期の社会的スキルと学校適応に関する心理学的研究.兵庫教育大学研究紀要 第1分冊 学校教育・幼年教育・教育臨床・障害児教育 21:99-103, 2001
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3) 川北稔:家族会への参加と引きこもりの改善—民間支援機関における質問紙調査から.愛知教育大学実践総合センター紀要 9:227-236, 2006
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11) 斎藤環:社会的ひきこもり.日本社会精神医学会雑誌 11:323-328, 2003
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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