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文献詳細

雑誌文献

精神医学59巻11号

2017年11月発行

特集 「統合失調症」再考(Ⅰ)

鵺のごとく正体不明,アメーバのごとく千変万化,烏合のごとく種々雑多—DSMには統合失調症の疾患概念がない!

著者: 中安信夫1

所属機関: 1医療法人原会原病院

ページ範囲:P.1001 - P.1009

文献概要

はじめに
 「操作的診断基準は統合失調症の見方をどのように変えたのか?」が本特集において筆者に与えられたタイトルである。これとほぼ同じ趣旨の論文執筆の依頼を12年前の2005年に「Schizophrenia Frontier」誌でも受けたが,そこでは「統合失調症の概念の変遷」を特集テーマとして「操作的診断と疾患概念の変化」を書くように求められたのである。その依頼に応えて筆者が執筆したのが論文「DSM統合失調症は『鵺(ぬえ)のごとき存在』である—操作的診断と疾患概念の変化」4)であったが,12年を経てもその折の考えにはいささかの変化もなく,変化するどころか2013年のDSM-51)の出版を機にますます強まり,よってタイトルを表題のごとくにして再度同様の主旨の論文を執筆することにした。なお,依頼は上記のごとく操作的診断基準全般に関してであるが,臨床的なそれはDSM(DSM-Ⅲ〜DSM-5)のみであるので,ここではDSMを取り上げて論じることにする。

参考文献

1) American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disoeders, Fifth Edition. APA, VA, 2013(髙橋三郎,大野裕監訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014)
2) 針間博彦:統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害.臨床精神医学 41:543-553, 2012
3) 中安信夫:精神分裂病.松下正明,広瀬徹也編:TEXT精神医学.pp303-322,南山堂,1998
4) 中安信夫:DSM統合失調症は「鵺(ぬえ)のごとき存在」である—操作的診断と疾患概念の変化.Schizophrenia Frontier 6:33-37, 2005
5) 中安信夫:精神科臨床を始める人のために—精神科臨床診断の方法.星和書店,2007
6) 中安信夫:反面教師としてのDSM—精神科臨床診断の方法をめぐって.星和書店,2015
7) 中安信夫:違いがわからない精神科医の,スペクトラム障害—統合失調症スペクトラム障害(DSM-5)を取り上げて.臨床精神医学 46:741-747, 2017
8) Spitzer RL, Endicott J, Robins E:Research Diagnostic Criteria(RDC)for a Selected Group of Functional Disorders. 3rd ed. New York State Psychiatric Institute, New York, 1978
9) World Health Organization:The ICD-10 Classification of Mental and Behavioural Disorders:Clinical descriptions and diagnostic guidelines. WHO, 1992(融道男,中根允文,小見山実他監訳:ICD-10精神および行動の障害—臨床記述と診断ガイドライン.医学書院,2005)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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