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文献詳細

雑誌文献

精神医学59巻11号

2017年11月発行

文献概要

短報

いじめ被害体験と自閉スペクトラム症のある学生に対する大学保健センターでのケアの一考察

著者: 深谷薫1 山本朗1 西谷崇1 森麻友子2 紀平省悟3

所属機関: 1和歌山大学保健センター 2和歌山大学障がい学生支援室 3和歌山つくし医療・福祉センター

ページ範囲:P.1067 - P.1072

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抄録
 大学生を対象としてASD的傾向といじめ被害体験をアンケート調査した。その結果,ASD的傾向の高い群はASD的傾向の低い群に比べ,いじめ被害体験が有意に多かった。次に,いじめ被害というトラウマ体験とASDのある学生への大学保健センターでの治療・支援経過を振り返った。精神科医がEMDRや認知行動療法の要素を取り入れた精神療法を,保健師が大学保健センター併設のキャンパス・デイケア室で集団活動を提供することなどにより,トラウマ体験に関連する精神症状や心理的影響が軽減し,学生の社会適応力が向上した。学校メンタルヘルス活動の重要性とともに,その活動を担い,多面的ケアを提供し得る大学保健センターの有用性が再認識された。

参考文献

1) 井上直美:眼球運動による脱感作と再処理法.トラウマセラピー・ケースブック—症例にまなぶトラウマケア技法(野呂浩史企画・編集).星和書店,pp57-110, 2016
2) ジュディス・A・コーエン,アンソニー・P・マナリノ,エスター・デブリンジャー編:子どものためのトラウマフォーカス認知行動療法—さまざまな臨床現場におけるTF-CBT実践ガイド(亀岡智美,紀平省悟,白川美也子監訳).岩崎学術出版社,2015
3) 川乗賀也,山本朗,宮西照夫:ひきこもり大学生に対するデイケア参加の意義に関する検討.精神医学55:37-43, 2013
4) 菊池章夫編著:社会的スキルを測るKiss-18ハンドブック.川島書店,2007
5) 斎藤環:いじめ被害とPTSD.精神科治療学29:633-638, 2014
6) 杉山登志郎:発達障害とトラウマ.精神科治療学29(増刊号):30-32, 2014
7) 杉山登志郎:神経発達障害とは何か.連合大学院小児発達研究科・森則夫・杉山登志郎編:神経発達障害のすべて.日本評論社,pp14-19, 2014
8) 高橋知音,岩淵未紗,須田奈都実,他:発達障害関連困り感質問紙実施マニュアル.三恵社,2012
9) 内山登紀夫:高機能自閉症スペクトラムの支援—成人期.精神科治療学29(増刊号):266-269, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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