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書評
—Markus Reuber/Steven Schachter 編 吉野相英 監訳—てんかんとその境界領域—鑑別診断のためのガイドブック
著者: 重藤寛史12
所属機関: 1福岡山王病院てんかん・すいみんセンター 2国際医療福祉大学福岡
ページ範囲:P.1163 - P.1163
文献購入ページに移動本書は,神経学の父であり,てんかんを神経疾患として独立させようとしていたGowersが100年以上も前に記した「Borderland of Epilepsy」を原型とし,神経学の黎明期から存在する「てんかんとその境界領域」を,現代医療の知見をもって「再訪する」という形で構成されている。各章のはじめにある「要約」と「はじめに」には,各疾患に対するGowersの時代の理解と現代における理解との比較が記述してあり面白い。本文では,ビデオ脳波,筋電図,心電図,脳画像検査,超音波検査,遺伝子検査など新たなテクノロジーを得た現代の専門家によって,てんかんの境界領域である疾患の発症メカニズムと鑑別のロジックを詳細に解説していて,なるほど,とうなずいてしまう。失神,心因性発作,パニック発作,めまい,頭痛,一過性脳虚血,一過性健忘,睡眠関連の発作,アルコール関連の発作,不随意運動などのてんかんと鑑別を要する疾患に加え,自己免疫介在性てんかん,非けいれん性てんかん重積,自閉症,抑うつなど,現在のてんかん学でトピックになっている疾患にも多くのページを割いており最新の知見を得ることもできる。
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