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文献詳細

雑誌文献

精神医学59巻2号

2017年02月発行

文献概要

オピニオン 精神科医にとっての薬物療法の意味

精神科医と薬物療法,その込み入った関係性について

著者: 白波瀬丈一郎12

所属機関: 1慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 2慶應義塾大学ストレス研究センター

ページ範囲:P.128 - P.130

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はじめに
 今回私に与えられた役割は「精神科医にとっての薬物療法の意味」を考察することである。どのように考察するかについて考えると,その「意味」は,薬物療法に対する個々の精神科医の姿勢,すなわち薬物療法を自らの精神科治療の中にどのように位置付けるかによって異なることが明らかになる。その「意味」は,薬物療法自体に属するのではなく,薬物療法とそれを用いる精神科医との関係性の中に存するのである。さらにいえば,それは固定した静的なものではなく,精神科医の姿勢やその関係性によって変化する力動的なものであることが分かる。したがって,「精神科医にとっての薬物療法の意味」というテーマは,「薬物療法をいかに意味あるものにしていくか」という,精神科医に課せられた課題と読み換えることができる。
 本論では,この読み換えを「精神科医という仕事」と,その仕事における「薬物療法という存在」について述べることを通して行う。そして,意味あるものにするための課題を「薬物療法について学ぶこと」,「薬物療法についての訓練を受けること」,そして「自己愛的な狡さに開かれること」という点から考える。

参考文献

1) Freud S:Die endliche und die unendliche Analyse. 1937(山田聡子,岡田裕子,兼城賢志訳:終わりのある分析と終わりのない分析.藤山直樹編・監訳:フロイト技法論集.岩崎学術出版,pp101-147, 2014)
2) Maltzberger JT, Buie DH:Countertransference hate in the treatment of suicidal patients. Arch Gen Psychiatry 30:625-633, 1974

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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