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文献詳細

雑誌文献

精神医学59巻2号

2017年02月発行

文献概要

研究と報告

うつ状態勤労者の復職支援を目的とした集団精神療法の効果

著者: 玉崎愛美1 堀輝1 松元知美1 梅津舞子1 手銭宏文1 吉村玲児1 中村純2

所属機関: 1産業医科大学医学部精神医学教室 2北九州古賀病院

ページ範囲:P.139 - P.145

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抄録
 うつ病やうつ状態による休職者が増加しているが,復職後の再休職率が高いことが知られている。そのため現在リワーク活動が全国の精神科関連施設などで行われている。しかし,リワーク活動期間が長く,多くの勤労者を対象にできないといった課題も挙げられる。当院では復職支援を目指した短期集団精神療法プログラムを行っている。今回48例のうつ状態で休職となった勤労者を対象に短期集団精神療法の効果について検討した。プログラム受講後に48例中34例(70.8%)が復職可能となった。復職した勤労者の34例中30例(88.2%)が1年間の復職継続が可能だった。
 本結果から短期集団精神療法プログラムは一部の患者には有用であると考えられた。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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