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東日本大震災による放射能事故の被災地にある診療所での精神科医療—5年間の経験から
著者: 新村秀人12 佐久間啓2 三村將1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部精神神経科学教室 2あさかホスピタル
ページ範囲:P.265 - P.274
文献購入ページに移動福島県川内村では,東日本大震災の原発事故による全村避難の1年後に帰村を開始し,空白になった精神科医療サービスを再建すべく,村の診療所に月1回の心療内科外来を開設した。4年間で54回診察を行い,受診者はのべ951人(平均73.3歳)であった。診断はPTSDが少ない一方,遷延する慢性ストレス状態が多く,放射能事故の特性と考えた。受診者には高齢者が多く,認知症も目立ち,震災を期に地域の人口減少・高齢化が進んでいることを反映していた。川内村では,帰村者の高齢化率は40.3%に達し,高齢化の進む日本の将来の姿とも言える。連続的かつ継続的な精神科医療支援のためには,コンパクトな診療所モデルが有効と考えた。
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