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雑誌目次

論文

精神医学59巻4号

2017年04月発行

雑誌目次

巻頭言

老子哲学と精神療法—あえて弱く生きてみる

著者: 野村総一郎

ページ範囲:P.288 - P.289

 筆者は最近,老子哲学に魅せられていて,これを精神療法に応用できないかと考えている。いや,精神療法と言っても,体系立ったものを確立しようという話ではないし,何か技法を作ろうと企てているわけでもない。ただ老子の考え方の中に,「患者のために役立つ確かなもの」を感じているにすぎない。それを理論的,合理的に整理するのは時期尚早かもしれないが,何がかくも私を老子に駆り立てているのか,このまとまりのない一文から多少なりとも読み取っていただけると幸いである。
 老子は今から2500年位前に生きた古代中国の思想家であり,生涯で5,500余の文字しか書き残していない。この短い文章でその後の東アジア,いやおそらく全世界に影響を及ぼす壮大な哲学を展開したわけである。しかし,筆者が老子の著書「道徳経」を一読し,読み終わった時には「これは実のところ全篇,うつ病について語った本ではないか」と思えたし,「それ以外の読み方はできない」とも感じられた。そうなると,むしろこれまで老子の治療的応用が本格的に成されていなかったのが不思議なくらいに思えてきたのであった。

特集 改正道路交通法と医療の視点

特集にあたって

著者: 井上有史

ページ範囲:P.291 - P.291

 安全な交通社会の実現はすべての人の願いである。安全な運転には,認知,予測,判断,操作などの能力が必要とされるが,ある特定の病気はこれらの能力の一部または全部を失う可能性があるとされ,法律で規制されている。
 1960年の道路交通法では,リスクが高いと想定された病気のある人は一律に運転禁止とされた。2002年には,運転の可否は個別に判断されることとなったものの,「一定の病気」のある人には適性判定を適宜求めることとされた。「一定の病気」として明記されたのは,統合失調症,てんかん,再発性の失神,無自覚性の低血糖症,そううつ病,重度の眠気の症状を呈する睡眠障害,認知症である。

統合失調症の自動車運転にかかわる法規制

著者: 三野進

ページ範囲:P.293 - P.300

はじめに
 精神疾患に対する資格取得上の欠格規定の多くは撤廃されたが,精神疾患への危険視を前提とする道路交通行政では,精神疾患名を挙げて免許を与えないとする欠格条項が残された。道路交通法施行令で統合失調症,そううつ病と特定し「自動車等の安全な運転に必要な認知,予測,判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないもの」に限って例外的に免許を認めるという規定を2001年から採用している。現実には,これらの疾患にある人の大部分は,運転免許を適正に取得し,生活を送る上で不可欠なものとして自動車を運転している。しかし,人身事故時や免許更新時に精神疾患にあり欠格に相当することが疑われると,主治医の診断書を要求されることになる。この診断書には,運転能力と症状の関係,将来予後を記載することが求められる。
 問題をさらに深刻にしているのが,「自動車運転死傷行為等処罰法」の存在である。この法には,てんかん,精神疾患など政令で定める病気の影響で「走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある」と認識して運転し,人を死傷させた場合に懲役15年といった重罰を課す規定が含まれる。これらの法改正は当該患者に重大な脅威を与えているが,精神科医療者にとっても,診断書記載などについて説明義務があり,欠格事由への知識と判断が必要となる。

気分障害を持つ人のための「自動車運転に関する心理教育」を考える

著者: 木村卓 ,   岩本邦弘 ,   河野直子 ,   尾崎紀夫

ページ範囲:P.301 - P.309

はじめに
 患者から「先生,運転してもよいでしょうか?」と尋ねられた際,多くの精神科医は自信を持って答えることができないのが現状であろう。この背景には,道路交通法(以下,道交法)上,「そううつ病(そう病・うつ病を含む)」等が運転免許の相対的欠格事項とされていることに加え,自動車運転死傷行為処罰法によって治療薬や精神疾患の影響下にある交通事故が厳罰の対象とされる可能性があることや,ほとんどの向精神薬の添付文書が自動車運転等を画一的に禁止していることが大きく影響していると考えられる。しかし,現実には,服薬しながら自動車運転を続けている精神疾患患者は少なくない5,9,11)
 わが国における精神疾患患者の運転適性に関する議論は,今世紀に入り,運転関連法制度の改正・整備に伴ってにわかに注目されるようになったが,現実に即さない制度内容も影響して,十分な社会的コンセンサスを得ている感はない。1960年6月の道交法の施行以来,約半世紀にわたって,「精神病者」は,自動車運転免許証の取得・保持の絶対欠格とされていた。1999年に「障害者に係る欠格事項の見直しについて」が決定され,2001年の道交法の改正により,精神疾患は,運転への支障の有無により運転免許の取得の可否を個別に判断する「相対的欠格事由」となり,主治医の診断書や臨時適性検査によって一定の条件を満たせば,免許が許可されることとなった。ここにおいてようやく,精神疾患患者の運転適性に関する具体的な議論を社会的に行うことができるようになったが16),冒頭の状況や諸家が繰り返し示しているように6,11),日本においては依然,臨床医と患者が運転に関して率直に話し合えるような環境は整っていない。
 本稿では,今日の精神科臨床において,患者の自動車運転を考える際の問題について,法制度や学会ガイドラインを整理して示すとともに,海外の動向や文献的検討を踏まえて議論し,臨床医が少しでも自信を持って,運転適性評価や患者・家族への情報提供ができるようになることを目指したい。ここでは,筆者らに与えられたテーマに従って,主に気分障害患者を念頭に議論を進め,最後に,精神科医と患者が自動車運転に関して情報を共有しながら話し合う,運転に関する心理教育のあり方について考えてみたい。

てんかんと自動車運転

著者: 川合謙介

ページ範囲:P.311 - P.316

はじめに
 2014年の道路交通法(道交法)改正の直接のきっかけとなったのは,てんかん発作による交通事故であった。2011年に栃木県鹿沼市で発生した重大交通事故の運転者はてんかんと診断されていたにもかかわらず抗てんかん薬を適切に服用せず,発作が消失していない状態,すなわち道交法第66条の運転が禁じられた状態および道交法90条の免許が与えられない状態であった。しかし,虚偽の病状申告により免許を取得し運転を続け,てんかん発作による事故を起こすに至った。これに対して,事故の遺族から,免許拒否規定が厳格に適用されるべきとの嘆願書が法務大臣へ提出され,これに応える形で,2014年に道交法改正と自動車運転死傷行為処罰法の制定が行われたのである。
 道交法改正の第一点は,病状質問票への虚偽回答に対する罰則規定の導入で,これは公安委員会が運転適性のない人をより正確に把握しようというものである。第二の改正点は,てんかんの新規発症や発作再発によって運転免許取消処分を受けたが,その後の治療などで運転適性を回復した場合には免許再申請時の学科試験や技能試験が免除される規定である。これも,運転適性を失った場合の自己申告を促し,公安委員会が運転適性のない人をより正確に把握しようというものである。第三の改正点は,運転適性がないのに運転を続ける者を医師が公安委員会に届け出る制度の整備である。届け出に関して日本医師会や日本てんかん学会によるガイドラインが作成された13,14)。また,改正道交法とほぼ同時に施行された自動車運転死傷行為処罰法では,てんかん発作があり運転適性のない状態で運転し,てんかん発作による死傷事故を起こした場合には,故意の事故と判断され厳罰を科されるようになった。

飲酒運転対策としてのアルコール依存症への介入

著者: 伊藤満 ,   樋口進

ページ範囲:P.317 - P.324

はじめに
 飲酒運転が危険な行為であるということは周知の事実であり,飲食店に「ハンドルキーパー運動」のポスターが掲げられていたり,アルコール呼気検査を導入する事業所が増えてきたりしており,飲酒運転を防止するための取り組みが広まっているように思われる。しかしながら,いまだに飲酒運転の根絶には至っておらず,悲惨な事故についての報道をしばしば目にする。このことは,飲酒運転の危険性が広く喧伝され,ひとたび事故を起こせば重い代償を払わなければならないことを知っているということが,必ずしも飲酒運転の抑止につながらない現実を示しているのかもしれない。
 それでは,アルコール依存症をはじめとした飲酒問題を持つ人たちが,運転免許を容易に取得できないようにすれば悲惨な事故を防ぐことができるのか。あるいは,一度でも飲酒運転で検挙されたならば,二度と免許を取得できないようにすればいいのか。本稿では,飲酒運転対策という視点から,アルコールおよびアルコール依存症について考えてみたい。

認知症と自動車運転

著者: 上村直人 ,   池田学

ページ範囲:P.325 - P.332

はじめに
 2017年3月12日,道路交通法があらたに改正され4),75歳以上の免許更新者で講習予備検査の結果,認知症のおそれがある第一分類と判定された場合,医療機関での受診が義務付けられることとなった。それまでは講習予備検査の結果で第一分類と判定されても,基準行為と呼ばれる一定の交通違反がなければ免許更新できていたものが,違反の有無に関係なく,医師の判断が義務化され,その結果認知症と判断されれば免許の自主返納か運転免許が取消しされることとなった。
 これまで認知症が疑われ,一定の違反があるための医師の診断書作成は年間4,027件/年であったものが,第一分類者が3〜5万人存在すること3)を考慮すると,新たな制度では医療機関を受診する免許更新者が100倍にも増大し,医療機関側の対応にも混乱が予測される。
 そこで本稿では,今回新たに施行される改正道路交通法について認知症の視点から概説し,これまでの認知症と自動車運転に関する医療の問題と今後の課題について述べることとする。

高次脳機能障害者の自動車運転

著者: 加藤徳明 ,   二宮正樹 ,   佐伯覚 ,   蜂須賀研二

ページ範囲:P.333 - P.340

はじめに
 高次脳機能障害とは,運動麻痺や感覚障害,認知症では説明のつかない中枢神経系の障害による言語,認知,動作の異常のことで,脳卒中,外傷性脳損傷(traumatic brain injury;TBI),低酸素脳症,脳炎,脳腫瘍などで生じる。以前のわが国では,外見上は健常者と相違ないが日常生活や社会生活に制約があり,適切な医療や社会的支援が受けられずに困窮している多くの高次脳機能障害者が存在した。2001年から高次脳機能障害支援モデル事業が開始され支援対象者を明確にするための行政的診断基準14)が作成され,2006年には支援事業を全国展開するに至り,医療・福祉両面での支援は大きく進展した。診断基準の要点は,客観的に確認できる脳病変があり,主症状は記憶障害,注意障害,遂行機能障害,社会的行動障害の4つである。半側空間無視(unilateral spatial neglect;USN)や失語症は広義の高次脳機能障害に該当するが,行政的診断基準には失語・失行・失認が主症状であるものは該当しない。
 高次脳機能障害者が職場復帰・社会復帰をする際には,自動車運転再開を望む者が多いが,わが国では運転適性に関する判断基準は明確ではない。道路交通法第103条では免許の取消し・停止の病気を定めており,高次脳機能障害は,主に道路交通法施行令第33条の2の3で示す「自動車等の安全な運転に必要な認知,予測,判断又は操作のいずれかの能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する病気」に該当する。警察庁丁運発第185号の中には,「一定の病気に係る免許の可否等の運用基準」11)が別添され,安全な運転に支障を来す一定の病気などとその運用基準(表1)が明記されている。
 本稿では,まず,高次脳機能障害者に対する運用基準の解釈を解説する。次に,運転に関わる高次脳機能と適性評価に有用とされる机上課題やシミュレータ評価,事故・違反などに関する海外報告を紹介する。最後に我々が作成した自動車運転再開の指針を紹介し,運転再開評価の手順をまとめる。

睡眠障害と運転問題について

著者: 井上雄一 ,   笹井妙子

ページ範囲:P.341 - P.350

はじめに
 疾病治療コントロール不良の患者が運転中の意識障害のために引き起こした悲惨な交通事故の経験から,意識障害を生じる可能性のある疾病を有する患者の運転資格についての規制が昨今かなり強化されている。具体的には,まず2002年に,免許停止・保留の条件となる疾患がいくつか挙げられ,この中には,運転中の意識障害を生じ得る病態として,てんかん,低血糖症などとともに重度の眠気を有する睡眠障害が含まれた。また,2014年から実施されている改正道路交通法では,一定の病気を有する者が自らの病状につき虚偽の申告を行っている場合の罰則が厳罰化され,医師は運転適性を欠いた患者を公安委員会に届け出ることができることになった。
 さらに,自動車運転死傷行為処罰法では,交通死傷事故関連の刑罰をまとめて特別法とし,飲酒や薬物使用とともに,病気の影響で正常な運転ができなくなるおそれがある状態であることを知りながら自動車を運転し,人を負傷・死亡させた場合には最高15年の懲役を科すという刑罰が新設された。これらの法規を十分に理解した上で,患者の受診抑制(運転事故リスクを有するほど重症でありながら,自らの運転資格が剥奪されることを懸念して受診しなくなる可能性は否定できない)を避け,しかも医師・患者間の良好な関係を保たなければ(十分なコンセンサスを得ないで公安委員会に通報することは治療関係の悪化につながる可能性が高い),これらの法規の整備は逆効果になりかねない。特に眠気を呈する睡眠障害は比較的頻度が高い上に,寝不足・もしくは疲労によるいわば生理的な眠気亢進と慎重に鑑別する必要がある。本稿では閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syrtdrome;OSAS)と中枢性過眠症(ナルコレプシーと特発性過眠症)を中心に取り上げ,その運転問題の実態と事故リスクの判定,運転事故対策のあり方について,一部に睡眠障害治療薬の影響にも言及しながら概説した。

研究と報告

精神疾患をもつ人を対象とした自己開示尺度の開発

著者: 横山和樹 ,   森元隆文 ,   竹田里江 ,   吉野淳一 ,   池田望 ,   西山曜平 ,   村上元

ページ範囲:P.351 - P.361

抄録
 精神疾患をもつ人を対象とした自己開示尺度(Self-Disclosure scale for people with Mental Illness;SDMI)を開発し,その信頼性と妥当性を検証した。SDMIは当事者の主観的体験に基づく自己開示内容を項目として採用し,自己開示の量・深さの双方を測定可能とした自記式尺度である。精神疾患をもつ人155名を対象に質問紙調査を実施し,探索的因子分析を行ったところ,SDMIは『精神疾患と障害』,『生活状況』,『自分の強み』,『苦悩の経験』の4因子23項目に整理された。続いて,SDMIの自己開示の量・深さの双方における内的整合性,再テスト信頼性および基準関連妥当性を検討したところ,SDMIは十分な信頼性と妥当性を有する尺度であることが確認された。

短報

電気けいれん療法・Clozapine併用療法により遅発性ジストニアと精神症状の双方に改善を認めた難治性統合失調症の1例

著者: 小林弘典 ,   藤田洋輔 ,   西村健一郎 ,   大賀健市 ,   大盛航 ,   板垣圭 ,   竹林実

ページ範囲:P.363 - P.367

抄録
 Clozapine(CLZ)と電気けいれん療法(ECT)はともに統合失調症の特定の精神症状および遅発性ジストニアに対する有用性が報告されているが,CLZの効果は遅効的で,一方でECTは即効的だが再発が多い。症例は20歳台男性。X-2年に幻聴,被害妄想を呈し統合失調症と診断され抗精神病薬内服を開始した。X-1年に重度の遅発性ジストニアが出現,X年に幻覚妄想,精神運動興奮が悪化し暴力行為に至った。ECT・CLZ併用療法を行い,頸部ジストニアと精神症状の双方に効果を認め,3か月半で自宅退院,CLZを内服し6か月間安定している。今後検討は必要だがECT・CLZ併用療法は遅発性ジストニアを有する難治性統合失調症の選択肢となり得ると考えられた。

資料

精神科救急入院料病棟における入院長期化のリスク要因(第2報)—共通レジストリを用いた複数施設の分析から

著者: 杉山直也 ,   野田寿恵 ,   澤温 ,   立森久照 ,   山之内芳雄

ページ範囲:P.369 - P.377

抄録
 精神科救急入院料病棟における入院長期化要因について,共通の患者レジストリを有する2施設4病棟で検討した。全対象7,316人の入院1年後残留率は2.7%で,精神保健福祉資料から得られる全国値(11.6%)を下回り,急性期の人的資源投入による入院短期化効果が示された。コックス回帰比例ハザードモデルを用いた入院長期化要因の分析にて,統合失調症であること,措置入院,長い隔離・身体拘束を要する経過,年齢(40歳以上)が抽出された。結果において既報の単施設調査との一貫性が得られ,入院長期化防止のための諸策として,入院中のみならず地域包括ケア体制などにおいても有用な示唆を与える知見を見出したと考えられた。

私のカルテから

WAISによる下位尺度の乖離から自閉性スペクトラム障害が疑われた下垂体前葉機能低下の1例

著者: 佐藤晋爾 ,   田口高也 ,   井出政行 ,   新井哲明

ページ範囲:P.379 - P.383

はじめに
 自閉症スペクトラム障害(ASD)の診断において,発達歴や特性の把握が最も重要であることは論をまたないが,一方で特に成人例で,発達歴の聴取が困難な場合などは,ASD診断を疑う契機あるいは補助材料としてWAIS-Ⅲの検査所見に注目することは臨床現場ではいまだあり得ると考えられる9)。しかし,ASD以外の疾患によってWAIS-Ⅲの下位尺度がばらつくこともあり得ることを知っておくことは,検査への過剰な依存への戒めとなるであろう。我々は,WAIS-Ⅲの下位尺度のばらつきなどからASDを疑ったが,入院後に下垂体前葉機能低下症であることが明らかになった症例を経験したので,文献的考察を加え報告する。

動き

「第22回世界社会精神医学会」 印象記

著者: 清水加奈子

ページ範囲:P.384 - P.386

インドに到着
 インディラ・ガンディー国際空港に降り立つと,もわっと生暖かな空気に支配され,息を吸うのが重たくなった。12月だというのに,最高気温は30℃に近い。さらに,冬の時期は濃霧に覆われることが多く,その薄暗さも空気を重く感じさせた。
 インドの首都ニューデリーに位置するこの国際空港は,2010年に建て替えられたばかりだ。その敷地面積は広く,飛行機を降りた先,税関の壁に並ぶ巨大な仏陀のハンドサインは見事,空港内は清潔で設備機能も申し分なく,非常に近代的な空港であった。空港から市内に向かう途中,地下鉄工事の現場を多く目にした。ちょうど10年前に,学生最後を締めくくる卒業旅行で,筆者は北インド地方を旅行したのだが,その際出発地点であったニューデリー到着時と,大きく様変わりしている。高度経済成長率が世界主要国の中でトップの現代インドが迎えている急速な変化を感じ取った。

学会告知板

精神分析—研修医・医学生セミナー2017

ページ範囲:P.387 - P.387

論文公募のお知らせ

テーマ:「東日本大震災を誘因とした症例報告」

ページ範囲:P.309 - P.309

「精神医学」誌では,「東日本大震災を誘因とした症例報告」(例:統合失調症,感情障害,アルコール依存症の急性増悪など)を募集しております。先生方の経験された貴重なご経験をぜひとも論文にまとめ,ご報告ください。締め切りはございません。随時受け付けております。
ご論文は,「精神医学」誌編集委員の査読を受けていただいたうえで掲載となりますこと,ご了承ください。

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次号予告

ページ範囲:P.388 - P.388

編集後記

著者:

ページ範囲:P.392 - P.392

 改正道路交通法が施行され約2年が経過した。てんかん,統合失調症,そううつ病,重度の睡眠障害,認知症など「一定の病気による症状」がある場合の罰則強化や医師の任意申告制が導入され,読者の中には担当の患者さんから相談をうけたり,質問制度に応じた患者さんの診断書を作成したり,あるいは運転が心配な患者さんの申告をすべきかと悩まれた方も多いだろう。本号の特集「改正道路交通法と医療の視点」はこのような臨床医の日頃の悩みにこたえるべく組まれ各分野のエキスパートに論じていただいた。論点は多いが,個別の病名をとりあげて運転が問題にされることから生まれる社会的偏見に懸念を示された著者が多かった。疾患と運転との関連性,疾患以外の要因,個別の対策とシステム的な対策などが詳しく説明され,読者の知見を深め臨床に役立つと思われる。運転の問題では疾患や病態だけではなく,向精神薬の添付文書にある運転禁止の問題もある。本誌でも研究成果が発表されており今後の成果に期待したい。
 障害者差別解消法と改正障害者雇用促進法が昨年同時に施行された。当事者が主体的に社会に参加していく道が具体化される中でスティグマが研究されることが増えている。本誌で横山先生は自己開示尺度の開発をめざした研究を報告された。当事者がどのような自己開示をしやすいのかを知ることは支援のあり方を検討する上で重要としており興味深かった。

基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

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