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短報
電気けいれん療法・Clozapine併用療法により遅発性ジストニアと精神症状の双方に改善を認めた難治性統合失調症の1例
著者: 小林弘典1 藤田洋輔1 西村健一郎1 大賀健市1 大盛航1 板垣圭12 竹林実12
所属機関: 1国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター精神科 2国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床研究部精神神経科学
ページ範囲:P.363 - P.367
文献購入ページに移動Clozapine(CLZ)と電気けいれん療法(ECT)はともに統合失調症の特定の精神症状および遅発性ジストニアに対する有用性が報告されているが,CLZの効果は遅効的で,一方でECTは即効的だが再発が多い。症例は20歳台男性。X-2年に幻聴,被害妄想を呈し統合失調症と診断され抗精神病薬内服を開始した。X-1年に重度の遅発性ジストニアが出現,X年に幻覚妄想,精神運動興奮が悪化し暴力行為に至った。ECT・CLZ併用療法を行い,頸部ジストニアと精神症状の双方に効果を認め,3か月半で自宅退院,CLZを内服し6か月間安定している。今後検討は必要だがECT・CLZ併用療法は遅発性ジストニアを有する難治性統合失調症の選択肢となり得ると考えられた。
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