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文献詳細

雑誌文献

精神医学59巻4号

2017年04月発行

文献概要

資料

精神科救急入院料病棟における入院長期化のリスク要因(第2報)—共通レジストリを用いた複数施設の分析から

著者: 杉山直也1 野田寿恵1 澤温2 立森久照3 山之内芳雄3

所属機関: 1公益財団法人復康会沼津中央病院 2社会医療法人北斗会さわ病院 3国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計画研究部

ページ範囲:P.369 - P.377

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抄録
 精神科救急入院料病棟における入院長期化要因について,共通の患者レジストリを有する2施設4病棟で検討した。全対象7,316人の入院1年後残留率は2.7%で,精神保健福祉資料から得られる全国値(11.6%)を下回り,急性期の人的資源投入による入院短期化効果が示された。コックス回帰比例ハザードモデルを用いた入院長期化要因の分析にて,統合失調症であること,措置入院,長い隔離・身体拘束を要する経過,年齢(40歳以上)が抽出された。結果において既報の単施設調査との一貫性が得られ,入院長期化防止のための諸策として,入院中のみならず地域包括ケア体制などにおいても有用な示唆を与える知見を見出したと考えられた。

参考文献

1) 安西信雄:精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制等に関する研究.平成25年度厚生科学研究費補助金(障害者対策総合研究事業).精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制等に関する研究(研究代表者 安西信雄).統括研究報告.pp1-15, 2014
2) 藤井康男:重症入院患者の薬物療法治療指針に関する研究6施設による統合失調症197例のクロザピン導入前後の入院期間の変化.平成26年度厚生科学研究費補助金(障害者対策総合研究事業).精神障害者の重症度判定及び重症患者の治療体制等に関する研究(研究代表者 安西信雄).分担研究報告.pp147-157, 2015
3) 岸本泰士郎:経口薬と比較した抗精神病薬持効性注射剤(LAI)の再発予防効果.精神科治療学 30:931-937, 2015
4) 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所:精神保健福祉資料.http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/630/
5) 河野稔明,白石弘巳,立森久照,他:精神科病院の新入院患者の退院動態と関連要因.精神経誌114:764-781, 2012
6) 厚生労働省:精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会 とりまとめ.2012年6月29日http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ea3j.html
7) 宮田久嗣,石井洵平,小高文聰:デポ剤を急性期に用いる意義と問題点.精神科治療学 30:923-929, 2015
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9) 大森航,板垣圭,中村元信,他:Clozapineにより修正型電気けいれん療法から離脱可能であった治療抵抗性統合失調症の1例.精神医学 57:301-304, 2015
10) 杉山直也,塚本哲司:精神科救急医療の機能評価と質的強化に関する研究(事業実施機関 日本精神科救急学会).平成21年度障害者程度区分認定等事業補助金(障害者保健福祉推進事業).事業報告書.pp3-17, 2010
11) 杉山直也:特集 精神科救急の最新知識,症候・精神疾患に対する対応—統合失調症.臨床精神医学 43:685-690, 2014
12) 杉山直也,野田寿恵,澤野文彦:精神科新規入院者における入院長期化のリスク要因—精神科救急入院患者レジストリを用いた分析.精神医学 58:235-244,2016
13) 立森久照,竹島正,粟田主一:わが国の長期在院者の現況と推移.精神科治療学 29:13-18, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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