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文献詳細

雑誌文献

精神医学59巻5号

2017年05月発行

短報

再生不良性貧血の経過中に幻覚妄想状態を呈した1例

著者: 寺川裕基1 岩﨑進一1 井上幸紀1

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学

ページ範囲:P.491 - P.495

文献概要

抄録
 再生不良性貧血の経過中に幻覚妄想状態を呈した症例を経験した。症例は68歳の男性でX-28年時に同疾患の診断を受け治療を続けていたが精神障害の既往はない。X-5年より被害妄想が出現。X年4月に貧血の治療目的で入院するも妄想による問題行動のため退院となり当院入院となる。頭部画像検査では異常を認めなかった。多彩な精神症状を認め,抗精神病薬の調整を行うが効果は乏しく,かつ副作用も出やすく,診断,治療ともに難渋した。多年にわたる出血傾向や貧血が精神症状発現に大きな影響を与えたと考えられ,同疾患の合併症として精神神経症状も考慮するべきであると考えられた。同疾患における精神神経症状の合併は稀であり,文献的にも考察を加えた。

参考文献

1) 飯高哲也:再生不良性貧血の治療中に精神症状を呈した一例.精神医学 34:417-421, 1992
2) 片原節,切池信夫,副島清史,他:再生不良性貧血により症候性精神病を呈した1例.臨床精神医学 16:1329-1334, 1987
3) 草野源一郎:再生不良性貧血の経過中精神異常を惹起せる二例.日血会誌 17:278, 1954
4) 森松義雄:再生不良性貧血における脳の病理学的研究.精神経誌 72:505-536, 1970
5) Silverstein A:Intracranial hemorrhage in patients with bleeding tendencies. Neurology11:310-317, 1961

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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