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文献詳細

雑誌文献

精神医学59巻7号

2017年07月発行

文献概要

書評

—青木省三 著—こころの病を診るということ—私の伝えたい精神科診療の基本

著者: 滝川一廣1

所属機関: 1学習院大学・心理学

ページ範囲:P.701 - P.701

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 著者,青木省三先生の日々の診療の姿が目に浮かぶ本である。さまざまな知恵や工夫が語られているけれども,それを知識として覚えるよりも,その姿を思い浮かべながら,つまり,診療に陪席しているつもりで読んでいくとよい。陪席しているかのように読み進められる希有な診療の書である。
 症例が数多く出てきて,その多くが「症例→仮説→対応→ポイント」というかたちで語られている。「症例」を読んだところでいったん本を置いて,自分ならどんな仮説を持ちどう対応するだろうかと考えてから(できればメモしておいて)先を読むことをお薦めしたい。臨床家として力を伸ばすのに役立つし,著者青木先生の診療への理解も深まるだろう。陪席とは“見学”することではなく“参加”することである。これはそのように参加的に読むべき(それができる)本であり,著者の読者への願いもそこにあると思う。参加的に読めば,ここにあるのはマニュアル的なノウハウではなく,個々の患者や状況へのその都度の理解から生み出される配慮や工夫であることがよくわかる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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