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文献詳細

雑誌文献

精神医学59巻8号

2017年08月発行

文献概要

特集 国連障害者権利条約と権利ベースのアプローチ

国連障害者権利条約からみたわが国の精神保健福祉法

著者: 太田順一郎1

所属機関: 1岡山市こころの健康センター

ページ範囲:P.721 - P.729

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障害者権利条約批准に向けた法整備の経緯
 2014年1月20日,日本政府は障害者権利条約を批准し,2月19日に条約は効力を発生した。障害者権利条約は2006年12月に第61回国際連合(以下,国連)総会で採択されたもので,2007年9月にはわが国もこの条約に署名した。国際条約は憲法には優位しないが国内法よりは上位に位置付けられるものであり,国内法制度の諸規定は条約に沿ったものでなければならない。このため政府は,障害者権利条約の批准に向けて国内法制の整備を進めることになった。
 政府は,2009年12月に内閣総理大臣を本部長として障がい者制度改革推進本部を設置し,2010年1月には障害者,学識経験者からなる障がい者制度改革推進会議(以下,「推進会議」)を招集。この推進会議が中心となって障害者福祉に関連した法規,制度の見直しが進められることとなった。

参考文献

1) 橋本明:精神病者と私宅監置—近代日本精神医療史の基礎的研究.六花出版,pp17-34, 2011
2) 池原毅和:精神医療福祉の基本構想を障害者権利条約の観点から再構築する.病院・地域精神医学58:116-118, 2016
3) 池原毅和:精神障害法.三省堂,pp141, 307, 2011
4) 伊藤哲寛:障害者権利条約批准を精神医療改革の契機とするために.病院・地域精神医学58:123-125, 2016
5) 木太直人:障害者権利条約第1回日本政府報告.精神保健福祉47:50-52, 2016
6) 姜文江:精神保健福祉法になぜ「権利擁護」が必要なのか—精神医療ユーザーの権利が守られる法であるために.精神医療80:53-60, 2015
7) 日本精神科救急学会(監修):精神科救急医療ガイドライン2015年版.へるす出版,pp22-24, 2015
8) 内閣府:平成28年版障害者白書.pp14-22, 2016
9) 内閣府HP:第6回障がい者制度改革推進会議議事次第(平成22年3月30日)資料3医療に関する意見.http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_6/index.html(2017年6月2日,閲覧)
10) 内閣府HP:障害者制度改革の推進のための基本的な方向について(平成22年6月29日閣議決定).http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/pdf/kihon.pdf(2017年6月5日閲覧)
11) 内閣府HP:障害者の権利に関する条約第1回日本政府報告(日本語仮訳).http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_29/pdf/s1-2-1.pdf(2017年6月8日閲覧)
12) 岡崎伸郎:精神保健福祉法2013年改正の教訓.太田順一郎,岡崎伸郎(編):メンタルヘルスライブラリー33精神保健福祉法改正.批評社,pp166-172,2014
13) 太田順一郎:精神保健福祉法改正の課題.精神経誌118:47-50, 2016
14) 太田順一郎:精神医療審査会.精神科治療学30:161-166, 2015
15) 太田順一郎:非自発的入院制度の見直しの視点から.病院・地域精神医学57:6-9, 2014
16) 太田順一郎:措置入院制度の手直しと問題点.精神科医療サービス17:(投稿中),2017
17) 関口明彦:精神障害当事者が考えること.精神医療80:67-77, 2015
18) 富田三樹生:非自発的入院について—障害者権利条約との関連で考える.精神経誌114:386-395, 2012
19) 全国「精神病」者集団HP:障害者権利条約14条ガイドライン(山本真理訳).http://www.jngmdp.org/wp-content/uploads/1aa66068463da1c6585a640f8e5862f11.pdf(2017年6月7日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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