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文献詳細

雑誌文献

精神医学59巻8号

2017年08月発行

文献概要

資料

精神科救急入院患者レジストリを用いた措置入院者の臨床特徴の緊急解析

著者: 杉山直也15 長谷川花1 野田寿恵1 瀬戸秀文2 島田達洋3 椎名明大4 藤井千代5

所属機関: 1公益財団法人復康会沼津中央病院 2長崎県精神医療センター 3栃木県立岡本台病院 4千葉大学社会精神保健教育研究センター治療・社会復帰支援研究部門 5国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所社会復帰研究部

ページ範囲:P.779 - P.788

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抄録
 相模原市障害者施設殺傷事件を受け,措置入院制度が見直される中,精神障害者の処遇には慎重であらねばならない。事態を正確に捉え,正しく対策するための基礎資料とすべく,2011年度から5年間の入院者について,精神科救急入院患者レジストリを用い,措置入院者と医療保護入院者の臨床的特徴の違いを明らかにした。性別,年齢,罹病期間,治療中断,重症度,症状などで有意差がみられ,措置入院者では住所不定,依存乱用の併存が多いなど,配慮事項が多かった。措置入院者に対して一定の臨床的配慮は必要と考えられるが,一律の管理的対応をとる必要性根拠は見出されず,地域ケア体制の充実や医療外資源の早急な整備強化などが求められる。

参考文献

1) Hattori I, Higashi T:Socioeconomic and familial factors in the involuntary hospitalization of patients with schizophrenia. Psychiatry Clin Neurosci 58:8-15, 2004
2) 厚生労働省:相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム報告書—再発防止策の提言.2016年12月8日  http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000145268.html(2017年2月21日アクセス)
3) 佐竹直子,瀬戸屋雄太郎:急性期病棟における急性期ケアマネジメントのモデル作りに関する研究.平成20〜22年度精神・神経疾患研究開発費.「地域中心の精神保健医療福祉」を推進するための精神科救急及び急性期医療のあり方に関する研究(主任研究者 伊藤順一郎).分担研究報告.pp143-196, 2011
4) 杉山邦裕:私は院長,第5回 財団法人復康会.最新精神医学 6:197-199, 2001
5) 杉山直也,野田寿恵,澤野文彦:精神科新規入院者における入院長期化のリスク要因—精神科救急入院患者レジストリを用いた分析.精神医学 58:235-244, 2016
6) 吉住昭,竹島正,島田達洋,他:医療観察法導入後における触法精神障害者への精神保健福祉法による対応に関する研究 その1.医療観察法導入後における精神保健福祉法第24条に基づく警察官通報の現状に関する研究.厚生労働科学研究費補助金・重大な他害行為をおこした精神障害者の適切な処遇及び社会復帰の推進に関する研究.平成24年度総括・分担研究報告書.pp69-91, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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