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文献詳細

雑誌文献

精神医学6巻1号

1964年01月発行

研究と報告

慢性経過をたどる精神分裂症に対するProthipendyl(Timovan)の比較的大量投与と関連して

著者: 野村章恒12 与良健12 中江正太郎12 川尻徹12 桜井穰12

所属機関: 1東京慈恵会医科大学神経科 2紫雲会横浜病院

ページ範囲:P.71 - P.74

文献概要

I.まえがき
 Linke, H. 2)4)によれば,ProthipendylはChlorpromazineと比較すると,鎮静効果は,緩和で催眠作用は弱く,抗Histamine作用ならびに抗Allergie作用は強力であるといつている。中村ら5)や,Hift, St. 1)によると,精神分裂病型のなかで,妄想型にもつとも効果があり,妄想型の人格可塑性のかなりたもたれているものに有効であつて,新鮮例,再発例には著効があり,妄想を消す作用があるという。また中村らはその臨床経験から,緊張緩和作用がそのおもなる効果であるといつている。
 われわれは,このProthipendylの作用や臨床効果を参考として,3年以上の慢性経過をたどる精神分裂症患者に,比較的大量の投与をこころみたのでその結果につき検討してみたい。対象とした患者は,男子10例,女子1例の慢性経過をたどっている患者で,1例は,Philoponismusの既往があり,1例は,興奮,衝動行為を対象として,Lobotomieを受けている。諸種の治療で反応せずまた,妄想体系の存在を認め,Prothipendylの比較的大量投与によつてより積極的な精神療法的接近の可能性を求めようとしたわけである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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